娯楽で大を成した企業はない、絶えず危機意識は持っています
問:マイコンという全く新しい分野に入っていくとき、番頭さんとか先代の関係あるいは取引先の反発といったカベはありませんでしたか。
答:そんなものはありません。僕自身がそうであったように、会社全体がどこへ行っていいのかわからなかったわけですからね。よく2代目の方などから飛びたいと言われるが、私は好んで火中の栗を拾いに行く必要はないと言うんですよ。ベンチャーは冒険ですね。冒険精神は結構なのですが、何も現在、小は小なりにうまく暮らせているものを、ヤケドしに行くことはない。
私の場合は、どこへ行っていいかはわかりませんでしたが、何かしなければ会社がなくなってしまう。そういう危機意識は持っていましたからね。
問:非常に高収益の会社で株価も高い。それなのに任天堂は足もとがまだ固まっていないという見方がありますが……。
答:過去から現在まで娯楽で大を成した企業はないんです。会社が良くても悪くても危機意識はあります。私たちのような分野で仕事をしている者は、ユーザーの支持がなければ、もたない。
「何だ、こんなもの少しも面白くないじゃないか」と言われたら、おしまいでしょ。いつそう言われるかわからない。絶えず、こういう状態におかれているのだから、危機意識がなかったら、おかしいのですよ。
問:成功体験より失敗体験が大切といわれる時代になっています。過去の失敗体験は生きてきますか。
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