「日経ビジネスLIVE」とは:
「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト

 一橋ビジネススクール教授の楠木建氏と社史研究家・杉浦泰氏とともに、“近過去”に遡ってブレない意思決定の視座を養うウェビナーシリーズ「ケースで学ぶ『逆・タイムマシン経営論』」。第2回「任天堂 元祖“プラットフォーマー”の奥義」を2月24日(水)午後8時に開催するにあたり、日経ビジネスに掲載した一押しの過去記事を再掲載する。

 今回は、1986年3月17日号に掲載した任天堂の中興の祖、山内溥氏の編集長インタビュー。家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータ」がヒットを続ける中、山内氏がファミコン開発に至る経緯や経営理念などを語る。

■こんな方におすすめ
+仕事の意思決定において、ブレない思考を養いたい方
+任天堂の経営に関心のある方
+楠木氏、杉浦氏の著書『逆・タイムマシン経営論』を読んだ方、もしくは興味がある方
+任天堂の商品で遊んでいる方、遊んだことのある方
+企業の歴史、産業の歴史に興味がある方

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■開催概要
テーマ:ケースで学ぶ「逆・タイムマシン経営論」
    任天堂 元祖“プラットフォーマー”の奥義
開催:2021年2月24日(水) 20:00~21:00
受講料:日経ビジネス電子版の有料会員:無料(事前登録制、先着順)

※有料会員でない方は、まず会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)

20:00 オープニング ※(講師紹介、講座紹介)
20:05 任天堂の戦略と事業環境の変遷を、「ファミリーコンピュータ」の発売時にまで遡りながら分析。「逆・タイムマシン経営論」の視点から、楠木氏、杉浦氏が同社の強さを分析する。
20:45 質疑応答
21:00 クロージング

■講師

楠木建(くすのき・けん)
一橋ビジネススクール教授
1992年、一橋大学大学院商学研究科博士課程修了、一橋大学商学部専任講師、同助教授、同大学イノベーション研究センター助教授、ボッコーニ大学経営大学院(イタリア・ミラノ)客員教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科准教授を経て、2010年から現職

杉浦泰(すぎうら・ゆたか)
社史研究家兼ウェブプログラマー
1990年生まれ、神戸大学大学院経営学研究科を修了後、みさき投資を経て、現在は社史研究家兼ウェブプログラマーとして活動。社史研究は2011年からスタートし、18年1月から長期視点をビジネスパーソンに広める活動を開始(ウェブサイト「決断社史」)。現在はウェブサイト「The社史」を運営する

■教材
+楠木建・杉浦泰著『逆・タイムマシン経営論 近過去の歴史に学ぶ経営知』(日経BP)

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■編集長インタビュー

山内溥(任天堂社長)
「ファミコン情報論」

あくまで娯楽屋の発想で行きます

社会的現象にまでなった大ヒット商品、ファミリーコンピュータで快進撃を続ける任天堂の山内溥社長。「パソコンが中型車なら、ファミコンは軽自動車。しかし、家庭用の情報は軽で十分対応できる」とネットワーク構想にも自信をみせる。エレクトロニクス革命の脇役とみられていた“オモチャ”がニューメディアの主役になるのか。山内社長の胸に期待と不安が交錯する。(聞き手は本誌編集長=当時 河村有弘)

※「日経ビジネス」1986年3月17日号より。固有名詞や肩書、数字などは掲載当時のママ。読みやすさや時代背景を考慮し一部表現を改めた部分があります。

任天堂の中興の祖・山内溥氏(撮影は1993年、写真:東洋経済/アフロ)

:ファミリーコンピュータは相変わらず大変な人気で任天堂の業績も好調ですが、これだけ売れるとかえって不安ではないですか。会社がひとつの商品に依存してしまうわけですから。

:いや、どんな企業だって主力商品があって、それに依存しているのですから、どこの会社も皆さん、同じではないですか。

:売れるゲームと売れないゲームがありますね。どこがどう違っているのですか。

:初めから売れないゲームは駄作だから、もう論外ですが、今、売れないゲームでも過去には売れた時期があるわけです。良いゲームといわれ、一度はヒットしたものでも、やがては売れなくなる。ゲームは、そういうものなのですね。

 要するに、あきられるのです。過去に売れたゲームをみれば、結果論でそれなりの売れた理由をつけることはできます。しかし、売れたといっても半年であきられるか、1年であきられるかの差で、やがてはあきられていく。それが娯楽用品の持っている特徴なのですね。

変身を望んだのではありませんが、模索を続けマイコンにたどり着いた

:任天堂はコンピューター革命が進む中で、うまく変身したといわれる。しかしハイテク、それもエレクトロニクス技術革新を商品化とするという意味でモルモット役を果たしてきたのではありませんか。

:モルモットとは思いません。私たちが変化を予測したとか、変身を望んだというのでもないのです。どうしていいのか本当にわからないときがあった。そうしたときにマイコン革命が始まり、いやでもその道を行くしかなかった。ひたすらそこを歩んできたら任天堂自身が変わっていかざるを得なくなったのです。

 ファミコンを発売してから2年余り、うちだけでなく流通機構や半導体、出版業界など他の業界にまで影響を与えることになった。変身とは単に10億円の売り上げを100億円に増やすということではないと思いますよ。自らの変化が社会にインパクトを与え得るような変わり方、これこそ変身だといえます。

:しかし、突然、ファミコンを探り当てたわけではなく光線銃を作ったり、レーザークレー射撃で失敗したり、試行錯誤があったわけですね。

:長い間仕事をやってきて過去には失敗もありました。それを積み重ねてきたわけですが、この間、こういう企業を目指すとか、こうなろうとか、5カ年計画で売り上げを倍にするのだ、というようなことは考えたこともありませんでした。

 ただ、自分が行くべきところを模索していたのですね。あの頃は自分がどこへ行っていいのかわからなかった。経営者にとってこれほど苦しいことはない。任天堂はそういう時期が長かったのですよ。動きようがなくて、どうしようもなかったという方が良いでしょう。

:苦しみもがいて模索しているうちに、方向が見えてきたのですか。

:方向はマイクロ・コンピューターと決めていました。マイコン革命でそれまで考えられなかったような市場ができてくることはある程度、読めましたから。でも、最初から「しめた、これで行ける」と思ったわけではありません。

 もうこれしか仕方がないのではないかという感じでした。どう考えても、良い知恵は浮かばないし、たまたまそういうものが出てきたので、もう、これで行くしかない、と。

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続きを読む 2/3 娯楽で大を成した企業はない、絶えず危機意識は持っています

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