「日経ビジネスLIVE」とは:
「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト

 一橋ビジネススクール教授の楠木建氏と社史研究家・杉浦泰氏とともに、“近過去”に遡ってブレない意思決定の視座を養うウェビナーシリーズ「ケースで学ぶ『逆・タイムマシン経営論』」。第1回「ユニクロ 強さの源流」を1月27日(水)夜8時に開催するにあたり、日経ビジネスに掲載した一押しの過去記事を再掲載する。

 今回は、2001年に掲載したファーストリテイリング会長兼社長(当時は社長)の柳井正氏の半生を描いた人物ストーリー。事業に人生を懸けた柳井氏の厳しい経営観と、その背後にある葛藤を記している。

 柳井氏の経営哲学の根底にある価値観を知る上で必読だ。ぜひ、ご覧ください。

■開催概要
テーマ:ケースで学ぶ「逆・タイムマシン経営論」
    ユニクロ 強さの源流
開催:2021年1月27日(水) 20:00~21:00
受講料:日経ビジネス電子版の有料会員は無料(事前登録制、先着順)

※有料会員でない方は、まず会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)

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20:00 オープニング ※(講師紹介、講座紹介)
20:05 ファーストリテイリングの戦略の変遷を創業期にまで遡って紹介。「逆・タイムマシン経営論」の視点から、楠木氏、杉浦氏が同社の強さを分析する。
20:45 質疑応答
21:00 クロージング

■講師

楠木建(くすのき・けん)
一橋ビジネススクール教授
1992年、一橋大学大学院商学研究科博士課程修了、一橋大学商学部専任講師、同助教授、同大学イノベーション研究センター助教授、ボッコーニ大学経営大学院(イタリア・ミラノ)客員教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科准教授を経て、2010年から現職

杉浦泰(すぎうら・ゆたか)
社史研究家兼ウェブプログラマー
1990年生まれ、神戸大学大学院経営学研究科を修了後、みさき投資を経て、現在は社史研究家兼ウェブプログラマーとして活動。社史研究は2011年からスタートし、18年1月から長期視点をビジネスパーソンに広める活動を開始(ウェブサイト「決断社史」)。現在はウェブサイト「The社史」を運営する

■教材
+楠木建・杉浦泰著『逆・タイムマシン経営論 近過去の歴史に学ぶ経営知』(日経BP)
+逆・タイムマシン経営論 第1章 飛び道具トラップ
+逆・タイムマシン経営論 第2章 激動期トラップ
+逆・タイムマシン経営論 第3章 遠近歪曲(わいきょく)トラップ

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“閉塞日本”の殻を破った5人(1) フォーカスひと 人物

世界一のカジュアル衣料チェーンを目指す
柳井正氏[ファーストリテイリング社長]

世界標準は自ら作り出すもの
1%でも可能性あるなら挑戦する

常識にとらわれない理念と行動で閉塞日本の殻を破り、21世紀の扉を開こうとする人材を全5回のシリーズで取り上げる。
第1回は、消費不況の衣料品業界で独り勝ちの「ユニクロ」を展開し、世界一のカジュアル衣料チェーンを目指す異能経営者を紹介。
日本的な商慣習やなれ合いを廃した「原理原則の経営」とは。
=文中敬称略(立木 奈美)

※「日経ビジネス」2001年01月01日号より。固有名詞や肩書、数字などは掲載当時のママ。読みやすさや時代背景を考慮し一部表現を改めた部分があります。

 「店数30、年商30億円の商いができる会社になれたらいい」

 30年前こう語っていた地方商店街の衣料品店主は今、店数400強、年商2290億円の会社を率い、「世界一のカジュアル衣料チェーンを目指す」と公言する。「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング社長、柳井正だ。

 1998年11月、東京・原宿に「原宿店」を開いて以降の同社の快進撃は改めて述べるまでもない。「高級ブランドしかない場所だからこそ我々が出ていく意味がある」と、開店と同時に「フリース1900円」キャンペーンを実施。知名度は一気に向上し、フリースは1シーズンで850万枚も売れた。

 その後、店舗を全国に拡大。デニムジャケット、Tシャツ、チノパンツなど品目を変えて展開した1店集中型キャンペーンの大成功も手伝って業容は急速に拡大し、2000年8月期の売上高2290億円は3年前の3倍に達する。生産から販売まで一貫して手掛け、付加価値のすべてを自ら抱え込む事業構造から生み出される経常利益604億円は、衣料品業界で突出している。消費不況という閉塞状況を打ち破った同社は、まさに独り勝ちの状態だ。2001年秋には海外出店にも乗り出す。

「非情」は表面、貫く原理原則の経営

 成功へのやっかみもあるのだろう、ユニクロを率いる柳井に対しては、毀誉褒貶(ほうへん)が相半ばしている。「何もかも欧米流の合理主義で処理しようとしている」「非情だ」――などと批判する業界関係者も少なくない。

 確かに、柳井の経営スタイルは日本的な常識から大きく逸脱している。だが、もちろん「非情」の一言で片づけられるものではない。

2001年1月の記事掲載当時のファーストリテイリングの柳井正氏(写真:清水盟貴)

 1990年代半ば、ファーストリテイリングが国内の衣料品卸との取引を一気に縮小して海外からの直接調達に切り替えたとき、長年の取引関係を切り捨てる柳井の「非情さ」が注目された。だがこの背景を見てみると業界の常識や人情に縛られず、「原理原則」に照らし合わせて正しいと思うことを実行する柳井の姿勢が浮かび上がる。柳井は言う。「卸という業態が不必要だから取引をやめたんじゃない。生産を甘く考え、何回注意しても手抜きをやめなかったからだ」。

 当時、既存店の低迷に苦しんでいたファーストリテイリングが消費者から意見を募ったところ、品質の悪さが客離れの原因と分かった。「上下1900円のトレーナー、1回洗ったら糸取れた。2回洗ったら脇に穴開いた。もう買わへん」。そんな声に刺激され、品質改善に取り組み始めた同社にとって、「手抜き製品と分かって仕入れるのは消費者への裏切り」という姿勢を貫くことこそが“原理”だったのだ。

 ルールに沿った取引をしない相手は誰であろうと容赦はしない。94年の株式公開以前は慢性的な資金繰り難で、個人資産も担保に入れる窮状だったが、銀行に対してもその理不尽な行為を許さなかった。

続きを読む 2/3 父をライバルに築いた経営観

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