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EYストラテジー・アンド・コンサルティングによる定点観測の調査データから、どのような消費者の⾏動変容が浮かび上がるかを読者の皆さんと考えていくシリーズ。今回は、コンテンツ配信サービスの利用動向を詳しく見てみます。ライブやスポーツ観戦もオンラインで見たいという消費者が増える一方、一部にはオフラインに回帰する動きも。

コロナ禍の巣ごもり消費でデジタルコンテンツの配信サービスの利用は大きく伸びた(写真:PIXTA)

デジタル配信サービスが好調継続 巣ごもり需要の現在地

 慌ただしかった2020年が暮れようとしています。この年末年始は旅行や帰省の予定を入れず、家でのんびりしようという方も多いのではないでしょうか。こうした巣ごもり時間の強い味方と言えば、動画、音楽、電子書籍といったデジタルコンテンツ配信サービスです。

 今回は、コロナ禍を追い風に今年大きく消費を伸ばしたデジタル配信サービスにスポットを当てると同時に、超長期化するパンデミックの中で消費者の中に高まりつつある“オフライン回帰”の意識について探っていきます。

コンテンツ配信サービスの消費者購買指数(前年比)
(出所:JCB/ナウキャスト「JCB消費NOW」 データ(IM+EM系列)を基にEY作成)

 コンテンツ配信サービスはコロナ以前から成長分野と目され、2019年も前年比20%程度の伸びを維持していましたが、2020年に入り、緊急事態宣言を経た5月には前年比44%増と飛躍的な拡大を見せます。リアル店舗による小売り販売は依然回復が鈍く、EC(電子商取引)消費全体も成長の低速化を見せる中、コンテンツ配信は好調を続けています。映画や音楽などの配信サービスは月額制のサブスクリプションサービスとして提供されることが多く、継続課金型の料金体系も好調の背景にあると考えられます。

2021年にブーム到来か オンラインでのライブ、スポーツ観戦に潜在意向

デジタルコンテンツにおける継続利用率と今後の利用意向
(出所:EYストラテジー・アンド・コンサルティング)

 来る2021年も、コンテンツ配信サービスがどんな成長を見せてくれるのかが気になるところです。EYの調査によれば、今後はこれまでとは異なるカテゴリーの成長が期待できそうです。

 「利用したことはないが、今後使ってみたい」との声が多く集まったのは、オンラインでの音楽・演劇鑑賞、そしてスポーツ観戦でした。大人数を集める音楽ライブやスポーツ競技会場は“密”の典型とも捉えられたことから、感染が流行して以来、事業の様子見が続いていました。しかし、コロナ禍の長期化を受け、オンライン開催へと移行するイベントが増加しました。オンライン化によって新たなファン獲得も進む可能性から、消費拡大の期待も膨らみます。

 性別や年代を切り口としてみると、どういった人々にどのようなサービスの利用意向があるのかが、さらにはっきり見えてきます。

性別年代別デジタルコンテンツ配信サービス利用意向割合
(出所:EYストラテジー・アンド・コンサルティング)

 まず、20~30代の若い女性たちが、オンライン音楽ライブや舞台鑑賞に強い興味を示していることが分かります。コロナ流行下で長い間イベントに行けずにいた分、デジタルサービスを活用してこれから思い切り楽しみたいという彼女たちのエネルギーが伝わってくるかのようです。

 次に目を引くのは、50代の消費者の利用意欲の高さです。特にスポーツ観戦は50代男性の注目度が高く、音楽ライブ・舞台鑑賞は男女問わず関心を寄せる人が多くなっています。自宅で過ごす時間が増え、子どもや家族が利用していたのをきっかけに、自分もトライしてみようという人が増えたのかもしれません。