コロナ禍で課題となった日本社会のデジタル化。菅義偉政権はデジタル庁の新設や行政手続きにおける“はんこ廃止”などを、改革の重点分野と位置づけている。
だが、そもそもデジタル化は何のために進めるべきなのか。政府が音頭を取れば浸透していくものなのか。
シリーズ「みんなで考える日本の政策」では今回から、社会のデジタル化を取り上げる。電子政府で先行するエストニアなど世界のスマートシティーの事情に詳しい三菱UFJリサーチ&コンサルティングの南雲岳彦専務執行役員に、デジタル化の意義と、あるべき進め方について聞いた。

菅政権はデジタル庁の新設など社会のデジタル化を推進する方針を掲げていますが、そもそも、社会のデジタル化はなぜ必要なのでしょうか。
南雲岳彦・三菱UFJリサーチ&コンサルティング専務執行役員(以下、南雲氏):それはウェルビーイング、簡単に言えば、「幸せ実感」の向上のためです。行政手続きや引っ越し、銀行での取引などでデジタル化が進めば、色々なところへ出向かなくて済む。浮いた時間を本来の自分の幸せのために使うことができます。
ただ、日本人に「幸せですか」と尋ねると、「いや、忙しくて毎日大変です」という答えが返ってくることが多いです。日本は「幸せ」という言葉を真正面から扱うのがちょっと苦手なんですね。それでも自分の子どもには、ぜひ幸せになってほしいと思っているわけですが。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング専務執行役員。内閣府規制改革推進会議委員や一般社団法人スマートシティ・インスティテュート理事、複数の自治体のスマートシティー関連会議の委員・アドバイザーを兼任。京都大学経営管理大学院客員教授。
コロナ禍はデジタル化を進める契機になると思われますか。
南雲氏:そう思います。マズローの欲求階層説というものがあり、これをイメージすると分かりやすいと思います。
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