新型コロナウイルスの流行に伴い、時限的に全面解禁されたオンライン診療。菅義偉・新政権は改革の目玉の1つとして、オンライン診療に関する時限的な特例措置の恒久化を掲げている。
規制緩和後の4~9月は、月あたり5000~9000件超のオンライン診療と電話診療が実施されたが、10月末の対応医療機関数は、全体の約15%(1万6587)にとどまっている。
何がオンライン診療の普及を阻んでいるのか。患者はどう利用して、どこまで期待していいのか。シリーズ「みんなで考える日本の政策」の5回目はオンライン診療を取り上げる。2016年からオンライン診療に取り組む、外房こどもクリニック(千葉県いすみ市)の黒木春郎院長に聞いた。
オンライン診療の特徴を教えてください。
黒木春郎・外房こどもクリニック院長(以下、黒木氏):オンライン診療の定義は、「情報通信機器を用いたリアルタイムの診療」です。
メリットはいくつかあります。1つは、医療施設を訪問する必要がないので医師と患者が余計な感染リスクを避けられます。コロナに限らず、病院に行って別の感染症をもらってしまう恐れはあります。

1984年、千葉大学医学部を卒業。同学部付属病院小児科医局に所属し、関連病院勤務を経て、2005年に外房こどもクリニックを開設。厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」構成員、日本遠隔医療学会のオンライン診療分科会分科会長、日本医師会の「オンライン診療研修に関する検討委員会」委員などを務める。千葉大学医学部臨床教授。
2つ目は、時間的・空間的アクセスが容易になる。過疎地域など交通が不便な地域だけでなく、都市部の忙しいビジネスパーソン、病気や精神疾患など様々な理由で外出しづらい人にも適しています。
もう1つは、ドクターと1対1になれるので、患者さんが意外と普段話せないことも話せるようになること。ウェブは個別空間をつくることができます。
限界はなんでしょうか。
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