上野氏:女性や若者の登用は、ボトムアップではほとんどできません。トップダウンの方が、速く、確実に進みます。企業のトップに頭を切り替えていただかないと、なかなか変わりません。
頭を切り替えるには危機感が重要です。コロナ禍で経営者はだいぶダメージを受けているので危機感を抱いていると思いますが、コロナ禍はいつか終わるからこれまでのスタイルのままで「復旧」できる、つまり「旧に復そう」と思っているとしたら、変化は期待できません。
日本企業は危機になるほど守りに入っていくように見えます。やはり、変わらなきゃ、という動機がなければ、活力は生まれません。
活力を引き出すには、どうしたらいいでしょうか。
上野氏:日本はこれまで、持てる力の半分、つまり女性を腐らせてきたのだから、その女性を生かすことです。もう、女性を腐らせておく余裕はないでしょう。
カルビーのCEO(最高経営責任者)だった松本晃さんとお話ししたとき、松本さんは、「日本企業は横並びで隣近所ばかりを見ているから、この程度でいいだろうと思っている」とおっしゃっていました。利益率も横並びでだいたい4~5%。世界標準と比べたら著しく低いと。
ダイバーシティーを促進した企業は利益率が上がる、というデータを多くのエコノミストが出しています。そのようなエビデンスがありながら、女性登用を進めないのであれば、日本の経営者は経済合理性では動いていないのではないかと疑いたくなります。
東京大学も「ホモソーシャル」な社会を再生産
クオータ制に反対する男性たちは、強引に女性を登用したら組織の秩序が乱れると懸念しそうですが。
上野氏:げたを履かせてでも女性を登用すれば、ノイズが起きます。そのノイズが、活性化の原動力になるんです。
先日、男子校の先生方が集まる場で講演をしました。そこでの面白いエピソードを紹介しましょう。
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