1.に関しては、上司が機能していません。上司の仕事は、部下の正しい評価とモチベーションアップであるはずです。しかし自分の存在を誇示するために、立場が上で優位であることを示そうとする行為(マウンティング)を行い、力ずくで動きを変えてしまっています。

 会社の利益より自分の立場を守ろうとする上司の存在によってプロジェクトがおかしな方向に行ってしまうと、会社のためにならず、利益を損ねる危険性が出てきます。それを察知した若手は「会社に未来はない」と見切るのです。また、部下やプロジェクトの正しい評価ができない上司の存在が退職者を増やしています。

 2.については、会社のブランドコンセプトが確立していません。これは、自分たちの組織だからこそできる世の中への貢献を言語化していないため、社員は働いている意味がどこにあるかが分からず、会社の未来に期待できていないのです。

 皆が分かりやすい言葉に 

 2つの例をもう少し深掘りし、簡単な解決法を示したいと思います。

 1.の場合、このような管理職を野放しにしているその上の上司の怠慢によることが多いです。周りに忖度して部下や全体を見ずに上ばかり見ている組織の特徴です。プロジェクトベースの横断組織の評価制度を会社側が用意しておらず、体制整備が追い付いていません。人事評価制度を早急に見直すべきでしょう。

 2.について、組織心理学では社員の心が付いて来ない状況は、どこを目指しているのかの言語表現が明確でない組織に起こるといわれています。会社全体がブランドコンセプトを打ち出すからには製品やサービスを作り出す部署、関連部署全てがそれを理解し、納得するものでないといけません。

 例えば、「私たちの会社はサスティナブルな組織を目指します」と突然言っても、社員に「事業との関係がよく分からない」と思われてしまいます。ですから、それを例えば、製紙業であれば「私たちは自然体系を壊さず森林を守り、高品質の紙をお届けする企業です」と表明し、「紙を売ったお金で森に植林して地球環境にいいことをしていて、そのために堂々と紙を売っている組織だ」と社員に理解してもらえばいいのです。

 30~45歳の定着率の向上と優秀な社員を辞めさせないためのカギは、上記1と2の早期対策にあると確信しています。