「三方よし」に通じる

 松井さんはCSRという概念が日本企業に根付いていないときから、経営者としてCSR活動を地道に行ってきました。なぜそれができたのでしょうか。松井さんに聞いてみたいと思います。

川西由美子氏(以下、川西氏):本日はCSRの神髄を聞かせていただけると思い、ワクワクしています。企業のCSR活動は、経営者の始め方や考え次第で、社内に良い変革をもたらせるのかが決まります。アメリカンファミリー生命保険日本支社(現アフラック)の経営トップだった際、CSR活動を始めた経緯を教えてください。

松井秀文・ゴールドリボン・ネットワーク理事長(以下、松井氏): 私は1995年にアフラックの社長になりました。創設から約20年がたち、その節目として企業の在り方をもう一度考えました。企業の社会的責任には4つの側面があると思っています。まず、収益を上げて雇用を守り、適正な利益を上げ、税金を払うという「経済的責任」。そして「法的責任」「倫理的責任」「社会貢献的責任」です。

 私は「売り手よし、買い手よし、世間よし」という近江商人の商売についての考え方「三方よし」に共感していました。これはCSRそのものだと思います。この中で「世間よし」、すなわち社会貢献について、もっと力を入れようと思い至りました。

松井秀文氏は、アフラック社長時代に「がんと子供」に着目し、支援実施を決めた
松井秀文氏は、アフラック社長時代に「がんと子供」に着目し、支援実施を決めた

川西氏:具体的にはどのようなCSR(社会貢献)活動に着手したのですか。CSR自体が、お客様の困りごとを解決できる活動になっていれば、社員はその活動の意義を理解し、社員全員参加型の活動につながりやすくなりますね。

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