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「迷惑おじさん」は昔から迷惑な存在だった

 リアルの会議に臨むに当たり、人は知らず知らずのうちに準備をしています。服装や髪形を整えるのは当然ですが、相手を嫌な気持ちにさせないように、もしくは、優位に立てるように、などと思考を巡らしているのです。

 しかし、ウェブ環境だと、視点が自分のことだけになってしまいがちです。

 会議の参加メンバーも、リアルとウェブでは違いますよね。リアルの環境だと、ある程度、必要な人だけが出席するのですが、ウェブの場合は本来出席する必要でない人も参加できます。熱量や理論で自分の思いが伝わるはず、という前提は捨てた方がいいかもしれません。普段より丁寧に簡単に説明し、共感してもらうことがより大切になります。

 時間の管理についても、相手への配慮を深めることです。8時間働くのが仕事だと思って、立て続けに会議を入れる方もいます。会議は60分程度に設定されることが多いと思いますが、ウェブ会議で1人の人の話に集中できるのは20分が限界だとされています。これは画面の情報を必死で追い、過集中になるからです。最近は「ウェブ耐性」ができて、力を抜いて対応できる人も増えましたが、ほとんどの人にとって、1時間にも及ぶ1人が一方的に話す会議は苦痛でしかありません。進捗管理を頻繁にしすぎるのも、自分の目線だけで物事を見て、相手に配慮できていない典型例です。

 そういった「配慮」は本来、リアルの環境でもすべきことでした。ただ、実際に会っていると、周囲の目もあって、社員のモチベーションをそぐような迷惑行為は控えめになっていました。受け手の方も「モヤモヤするけど、そんなものかな」と感じ、受け流していた面があります。この「モヤモヤ感」と迷惑行為が、ウェブ環境で顕在化しました。

 つまり、タイトルにつけた「迷惑おじさん」は、もとから迷惑おじさんだったのです。なんとなく曖昧になっていた配慮不足という問題点に気づくことは、新たな組織づくりをする上では、むしろプラスです。モヤモヤと思っていたことが、ウェブ上のコミュニケーションで見える化でき、みんなが「これ問題だよ」と思って口に出すようになれば、「組織の風土を改善しなければ」という意識が高まります。迷惑おじさんの存在が目立ってきたこと自体、それでいいのですよ。

 迷惑おじさんから抜け出すのは、それほど難しいことではありません。働き方によって、相手の受け止め方が変わる、ということを理解すれば十分です。

 自分は迷惑おじさんかも、という自覚が少しでもあれば、ウェブ上では対面の5割増しで相手に配慮するようにしてください。そして、相手の時間を無駄に使う時間泥棒になっていないかを考えてくださいね。ウェブ発信する前に、聞く人にとって価値があるのかな、と一呼吸置くといいかもしれません。

 こういった悩みを抱えているあなたは、責任感のあるビジネスリーダーであるはず。ウェブ上のコミュニケーションで必要なのは「受け手への愛情の足し算」であることを意識し、普段より少しでも気遣いを増やせば、組織の雰囲気はずいぶん良くなりますよ。そして、その学びをリアルの場でも生かしてくださいね。

 ぜひ、皆さんの悩みやご意見、また、悩みを抱えている方へのアドバイスなどをコメント欄にお寄せください。このシリーズでは、私からは心のケアをする際のヒントをお伝えしつつ、皆さんと一緒に職場の悩みを解決していく場に育てていきたいと思います。

 どうぞよろしくお願いします。

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