コロナ禍で自社に関心

 以下は、私が組織開発のコンサルティングをしている際に実施した調査の結果です。20年4月~21年9月、セミナーも含め、企業の管理職など300人規模で「新型コロナ前後の行動の変化」などを聞き取りました。その結果、新型コロナ禍で「人との物理的な距離を取らなければならない中、心の距離が近づいた」と感じている人が多い組織には、ある共通点がありました。 

  • 自社のプレスリリースを見る回数が増えた
  • 自社のCSR(社会的責任)活動を深く知ろうとした
  • 組織体系を見直した
  • 自分が所属する組織以外が何をしているか知りたくなった
  • 社長が対外的に語っていることに興味が湧いた

 「自分の会社に興味が深まった」という点が同じです。新型コロナ禍で慢性的なストレスをためている時期に、上記のようなコーポレートコミュニケーションに関する発信を充実させる仕掛けができると、社内交流も促進します。人間関係の質も向上して社員のウェルビーイングが高まるのではないでしょうか。

 では、心理学的な観点から、もう少し具体的に、どうすればいいか考えてみます。以下のように取り組むと効果的でしょう。

  • プレスリリース後、「リリースしたのはこうした背景があり、対外的に期待しているのはこれ」と明確に明記して社員に配信する。質問も受ける
  • 社内のCSR活動で活躍している人に着目し、その活動を共有する。質問も受ける
  • 新しい組織図をつくって社内に知らせる際、変革したポイントがあれば理由と組織への期待を詳細に説明する。質問も受ける
  • 新入社員の情報を伝える。どのような領域を開拓し、貢献したいかなど本人の一言コメントも入れる。質問も受ける
  • 部署内の様子を伝える社内報を充実させる。発信したい部署を募る
  • 社長がメディアに出たら社員にも共有する。社長が強調したかったポイントを伝える
  • 趣味サークルの活動について自主的に報告するホームページをつくる

 新型コロナ禍だからこそ、会社は社内交流に関する情報をピンポイントかつ積極的に提供することが大切です。忘れてならないのは、会社側と社員が呼吸するように自然と情報を発信し合う仕組みづくりです。強要してはいけません。社員が会社に帰属している実感を高め、社員に所属欲求を満たすような安心感を与えることをゴールにしてほしいです。

 先ほど述べましたが、人は、慢性的なストレスから自身を健全な状態に戻そうとする恒常性があります。今、多くの人が人や所属場所とのつながりを本能的に欲しているのだ、と再認識してほしいと思います。

 次回は、社会と会社そして、社員とのつながり強化に欠かせないCSRについて議論したいと思います。

【ご意見、相談を募集します】

 今回は、ウェルビーイング効果を最大に引き出す工夫について考えました。ぜひ、皆さんも感想などがあれば教えてください。また、川西先生に悩みを相談したい方は、「お悩みアンケート」にお答えください。相談内容を編集部で確認・選考の上、編集部が皆さんのお悩みを川西先生にお届けします。

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