本シリーズでは、行動健康科学に基づく組織開発とストレスマネジメントの専門家である川西由美子氏を講師に招き、働き方や上司と部下の関係、チームマネジメントなどについて、読者の皆さんが抱えている悩みに答えたり、分析したりします。 今回は、コロンビア出身でIT企業経営者のウィリアム・アチュリさんとの対談を通じ、社員とのコミュニケーションを促進させる工夫について考えます。


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 こんにちは、川西由美子です。

 東京オリンピックが終わり、東京パラリンピックが始まりますね。オリ・パラ共にメダル獲得の有無ではなく、五輪を目標に努力してきた選手たちの真っすぐな熱い思いに刺激を受ける方も多いのではないでしょうか。暑い日が続きますね。水分補給を欠かさず、この夏を乗り切ってくださいね。

<span class="fontBold">川西由美子(かわにし・ゆみこ)氏</span><br />1998年に行動健康科学をベースにしたコンサルティング会社を創立。2005年からはEAP総研代表取締役として多くの企業でメンタルヘルス対策などにあたり、その後フィンランドで、世界25カ国で使われている組織活性化技法「リチーミング」の指導者資格を取得した。現在はオランダが本社の総合人材サービス会社ランスタッド(日本法人)と合併後、クライアントソリューション組織開発ディレクターを務める。臨床心理学や産業組織心理学が専門で、著書に『ココロを癒せば会社は伸びる』(ダイヤモンド社)、訳書に『産業組織心理学によるこれからのリーダーシップ』(日科技連出版社)など。ベトナムやインドネシアの企業・大学でも研修・教育活動を行っている。
川西由美子(かわにし・ゆみこ)氏
1998年に行動健康科学をベースにしたコンサルティング会社を創立。2005年からはEAP総研代表取締役として多くの企業でメンタルヘルス対策などにあたり、その後フィンランドで、世界25カ国で使われている組織活性化技法「リチーミング」の指導者資格を取得した。現在はオランダが本社の総合人材サービス会社ランスタッド(日本法人)と合併後、クライアントソリューション組織開発ディレクターを務める。臨床心理学や産業組織心理学が専門で、著書に『ココロを癒せば会社は伸びる』(ダイヤモンド社)、訳書に『産業組織心理学によるこれからのリーダーシップ』(日科技連出版社)など。ベトナムやインドネシアの企業・大学でも研修・教育活動を行っている。

 さて、前回は社員の行動が自主的に変わる組織運営の方法について、三谷産業の三谷忠照社長からお話を伺いました。自分の言葉を持つ経営者の生の声は、人々に行動を促す力があるのだなと改めて感じました。このコラムでは随時、人を引き寄せる魅力のある方と対談し、行動心理学的と組織心理学的な観点から解説・分析していきたいと思います。

 今回も、すてきなゲストをお呼びしました。南米コロンビア出身の弁護士さんでありながら、自身の強みであるIT(情報技術)分野で新しいビジネスを開拓し、日本で活躍している経営者です。ホテルやビルのIoT(モノのインターネット)化などを進める「X1Studio」(東京・千代田)社長のウィリアム・アチュリさんです。インタビューを通じ、ウィリアムさんが異文化の枠を超えて、言葉を選びながら、丁寧に説明する姿から仕事に誇りを持ち、モチベーション高く楽しんでいらっしゃることが伝わりました。

(写真:吉成 大輔)
(写真:吉成 大輔)

「保守的で動かない」殻を破る

 ウィリアムさんは、来日して23年がたちます。弁護士としてコロンビアの外務省に勤務した後、日本の商社で貿易に関わる仕事をしました。その後、IT・情報サービスのSankoIB(東京・港)の社長として、プリンスホテルで最上級ホテルの「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」や、20年夏に開業した東京都立川市の「SORANO HOTEL(ソラノホテル)」などに低電力消費やオペレーション業務効率化ができる新しい客室管理システムを導入させました。

 20年9月、X1Studioを設立し、商業ビルのIoT化などの事業を進めています。これまでNECやKDDIとも連携してビジネスをしてきました。南米出身の経営者から見ると日本の職場環境は、南米と比べてかなり差があるはずです。従業員を引き付け、新規事業を開拓するのは至難の業です。それをものともせず、今注目が集まる分野の仕事を前に進められたコミュニケーション術について、話を聞きました。

川西由美子氏(以下、川西氏):Hola(こんにちは)!Mucho Gusto(本日はどうぞよろしくお願いします)。

ウィリアム・アチュリ氏(以下、ウィリアム氏):Hola! とてもスペイン語がお上手ですね。日本での暮らしが長いので、日本語で大丈夫です(笑)。どうぞよろしくお願いします。

川西氏:さっそくですが、ウィリアムさんはIT分野の中でもさらに新しい分野を開拓しています。日本社会で新ビジネスの根を張ることは難しかったと思います。どのようなマインドと着眼点で切り開いたのですか?

ウィリアム氏:問題の捉え方を変えました。「問題があるからできない」ではなく、「その課題に何がプラスされれば、問題が解決するのか」という前向きな発想を常に持っていました。日本のIT業界は、とてもコンサバティブ(保守的)に感じました。イノベーションを自ら起こそうとせず、やや守りに入っているように映りました。彼らにどんな刺激が加われば、「保守的で動かない」という殻を破れるのかを考えました。

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