行動は経験の記憶が左右する

 社内で良い企業理念を掲げていたとしても、それを体感しないことには、社員は納得しません。理念に基づいた行動もしなくなります。

 企業理念を壁に張っただけの無意味なインナーブランディングは、社長が社員のためを思ってつくり込んだものでも伝わりません。心理学的にいうと、「一生懸命やっても無意味」という気分と経験をしてしまうと、人は「動かない」という判断をします。

 何か行動するときの決断は、感情に訴えかける経験の記憶が左右します。

(写真:PIXTA)
(写真:PIXTA)

 「バラクーダの実験」という面白い実験があります。これはインドネシアで私が現地法人の地元社員向けに研修を行ったとき、インドネシア人の人事担当者から聞いた話です。

 バラクーダは、日本語では「オニカマス」と呼ばれ、どう猛で賢いことで知られる魚です。バラクーダの群れがいる水槽の端に餌を置いて、真ん中に透明な仕切り板を設置します。バラクーダは餌を取ろうとして仕切り板にぶつかって痛い思いをすると、その後は仕切り板を外しても、餌を取りに行かなくなります。

 バラクーダの例と同じように、社内でつらい経験をすると、同じことはしないと判断し、行動しなくなります。バラクーダの例に戻ると、ではどのように仕切り板がないことを教えればいいでしょうか。皆さんも考えてみてください。

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