本シリーズでは、行動健康科学に基づく組織開発とストレスマネジメントの専門家である川西由美子氏(ランスタッドEAP総研所長)を講師に招き、働き方や上司と部下の関係、チームマネジメントなどについて、読者の皆さんが抱えている悩みに答えていきます。

 今回は、コロナ禍で高まるストレスとどう向き合えばいいかを考えます。


■川西先生に相談したい内容を募集します

 川西先生に悩みを相談したい方は、「お悩みアンケート」にお答えください。相談内容を編集部で確認・選考の上、編集部が皆さんのお悩みを川西先生にお届けします。

>>「お悩みアンケート」に回答する

コロナ禍のストレスとどう向き合っていますか?(写真:PIXTA)
コロナ禍のストレスとどう向き合っていますか?(写真:PIXTA)

 こんにちは、川西由美子です。

 新型コロナウイルスの感染拡大で2度目となる緊急事態宣言の対象地域が広がっています。人との接触をなるべく避けることがこの感染症への対策の基本ですから、「昼も夜も外出を控えて」という政府の掛け声は致し方ないのでしょう。

 昨年4~5月の緊急事態宣言時は緊張感があり、「今さえ我慢すれば乗り切れる」という抑制要因が働きました。その時と比べ、今の方が「先が見えない」と感じている人も多いのではないでしょうか。感染の広がりも当時とは桁違い。不安が広がっていることは否めませんね。

 コロナ禍はストレスです。ストレスとは「外部からの刺激によって生じる心身のゆがみ」を指しますが、不安や悩み、行動の抑制など、その原因は枚挙のいとまがありません。ストレスはきちんと対策をしないと、知らず知らずの間に蓄積してしまいます。

 今回は、いかにストレスをため込まず、コロナと向き合うか、をテーマとします。自分自身の管理が、今ほど大切な時はないかもしれませんね。

 まずは、読者の方から年末に寄せられたお悩みをご紹介します。

悩み:会社勤めで職種は営業職になります。 基本、食料原料の製造会社で比較的売り上げは安定しておりますが、やはり業界全体でも頭打ちでシュリンク傾向です。前を向いて新しい道を進む営業を日々心がけておりますが、会社から一方的に課せられることに時々心が折れそうになります。ただ趣味も多いのでストレスはあまりないつもりです。年末にかけてより忙しく少し疲れています。

(31歳、男性、会社員)

 趣味もありストレスはないつもりでも、時々、心が折れそうになるとのこと。営業職とのことで、会社から厳しい売り上げの目標を課せられていることが目に浮かびます。きっと、コロナ禍の影響もあって、普段とは異なる環境の中で、苦労されているのではないでしょうか。

 専門家は、ストレスに対処しやすくするため、ストレスを「要因」と「反応」に分けて考えます。さらに、ストレス反応は「本人の受け止め方」に左右されると捉えます。つまり、以下のようなかけ算で表すことができます。

 ストレス反応=ストレス要因(原因)×受け止め方

<span class="fontBold">川西由美子(かわにし・ゆみこ)</span><br />1998年に行動健康科学をベースにしたコンサルティング会社を創立。2005年に設立したEAP総研の代表取締役として多くの企業でメンタルヘルス対策などにあたり、その後、フィンランドで、世界25カ国で使われている組織活性化技法「リチーミング」の指導者資格を取得。現在はランスタッド傘下となったEAP総研の所長を務める。臨床心理学や産業組織心理学が専門で、著書に『ココロを癒せば会社は伸びる』(ダイヤモンド社)、訳書に『産業組織心理学によるこれからのリーダーシップ』(日科技連)など。ベトナムやインドネシアの企業・大学でも研修・教育活動を行っている。
川西由美子(かわにし・ゆみこ)
1998年に行動健康科学をベースにしたコンサルティング会社を創立。2005年に設立したEAP総研の代表取締役として多くの企業でメンタルヘルス対策などにあたり、その後、フィンランドで、世界25カ国で使われている組織活性化技法「リチーミング」の指導者資格を取得。現在はランスタッド傘下となったEAP総研の所長を務める。臨床心理学や産業組織心理学が専門で、著書に『ココロを癒せば会社は伸びる』(ダイヤモンド社)、訳書に『産業組織心理学によるこれからのリーダーシップ』(日科技連)など。ベトナムやインドネシアの企業・大学でも研修・教育活動を行っている。

 ストレス反応はまず、不安や焦りといった「心」、胃が痛い、ドキドキするといった「体」、仕事でミスをする、アルコールに頼る、食べすぎてしまうといった「行動」に出ます。

 ストレス要因を工夫して減らせるものならいいのですが、仕事の悩みや生活の不安と直面し、しかもえたいが知れない新型コロナの感染が広がっている状況では、ストレスの要因は減るどころか増える傾向にあります。心と体の余裕は、誰もが普段より少なくなっています。

 上の公式に従えば、ストレスの要因を減らせないときは、受け止め方が重要になります。例えば、「コロナ禍」「売り上げ」「納期」という3つのストレス要因があり、「コロナが怖い」「不安」という受け止め方があるとします。この場合3×2=6。ただ、受け止め方に「私はまだ大丈夫」と余裕を持てば、3×13×0に持っていける可能性があります。

次ページ 心に余裕を持たせるための3つの工夫