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2019年のノーベル経済学賞を受賞したアビジット・バナジー教授の考え方をアジア開発銀行チーフエコノミストの澤田康幸氏が解説する
「日経ビジネスLIVE」とは:「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト

 ノーベル賞学者など“世界の頭脳”の理論を、その要諦を熟知する専門家による解説で学ぶ。賢人たちのインタビュー映像や日経ビジネスに掲載した記事を教材に、モデレーター役の日経ビジネス副編集長・広野彩子が日本を代表する専門家に公開インタビュー。参加者の質問にも答えながら、世界最先端の理論のエッセンスを理解する。

 第1回は、2019年にノーベル経済学賞を受賞したアビジット・バナジー教授へのインタビュー映像などから、バナジー教授が唱える貧困などの社会課題解決のために経済学を生かす視座を学ぶ。バナジー教授の考えに詳しい、アジア開発銀行チーフエコノミストの澤田康幸氏が解説する。

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■開催概要

開催:10月29日(木) 20:00~
場所:Zoomによるオンラインセミナー(視聴URLは登録者にメールで送付)
受講料:無料 ※事前登録制(先着順)

20:00 オープニング
20:05 バナジー教授のインタビュー映像やアジア開発銀行の澤田康幸・チーフエコノミストへの公開インタビュー、クイズなどを通じて、バナジー教授の理論を解説。
20:40 質疑応答
21:00 クロージング

アビジット・バナジー(Abhijit Banerjee)
米マサチューセッツ工科大学(MIT)経済学部教授
1961年生まれ。インドのコルカタ大学卒、ジャワハラール・ネルー大学修士課程修了。88年に米ハーバード大学で経済学の博士号(Ph.D.)を取得。2009年インフォシス賞受賞。11年、フォーリンポリシー誌が選ぶ世界の思想家100人に選ばれた。19年、マイケル・クレマー米ハーバード大学経済学部教授、配偶者でもあるエステル・デュフロ米MIT経済学部教授らとノーベル経済学賞を共同受賞。専門は開発経済学と経済理論。デュフロ教授との最新の共著として『絶望を希望に変える経済学』(日本経済新聞出版)を出版。(写真:Nastasia Verdeil)

 日経ビジネス編集部では、世界的に著名な経済学者・経営学者に、記事執筆のための取材をしながら動画を撮影し、日本語字幕を付けて公開してきた。それぞれのトップクラスの研究者は何を思い、どのような背景でそう考えるに至ったのか? ウェビナーシリーズ「インタビュー映像で読み解く世界の頭脳」は、インタビュー中の発言の背景や伝えたい意味をさらに深く知りたい読者のため、その道の第一人者の研究者の方を講師に招き、さらに考察を深めていくシリーズである。

 第1弾は、2019年にノーベル経済学賞を共同受賞した、米マサチューセッツ工科大学(MIT)経済学部のアビジット・バナジー教授のインタビュー映像を初公開する。家族でフランスに滞在中のバナジー教授に、ビデオ会議システムでインタビューした。

 日経ビジネス電子版では、このインタビューの一部を「ノーベル賞経済学者バナジー教授『日本は成長戦略にこだわるな』」として公開しているほか、電子版で未収録の部分を加筆のうえ再編集し、日経ビジネスの雑誌版で「世界の最新経営論:MIT流経済成長の処方箋」を連載している。

 貧困緩和を目指すための画期的な研究によりノーベル経済学賞を共同受賞したバナジー教授。途上国を中心としたこうした研究は開発経済学と呼ばれる分野で、バナジー教授らの貢献で飛躍的な発展を遂げたとされる。

 配偶者でもある共同受賞者エステル・デュフロMIT教授との共著『貧乏人の経済学――もういちど貧困問題を根っこから考える』(みすず書房)は、授賞理由となった実証実験の手法を分かりやすく紹介したもの。発刊された2012年当時、大きな話題になった。

 こうした活動を踏まえ昨今のバナジー教授らは、途上国での考察を先進国にも応用し、格差拡大などについても論じてきた。経済成長やイノベーションをどう考えるか、移民やAI(人工知能)は、雇用にどのような影響を与えるのか――。近著『絶望を希望に変える経済学』では、最新の経済学界における成果も紹介しながら、独自の世界観で米国や世界経済の行方を考察している。

澤田康幸(さわだ・やすゆき)
アジア開発銀行チーフエコノミスト兼経済調査・地域協力局長
開成高校を経て1990年慶応義塾大学経済学部卒業、92年大阪大学大学院経済学研究科修士課程修了、94年東京大学大学院総合文化研究科国際関係論専攻修士課程修了、96年米スタンフォード大学大学院食糧研究所修士課程修了、99年同経済学部博士課程修了(Ph.D.)。同年東京大学総合文化研究科国際社会科学専攻助教授、2002年同大学院経済学研究科助教授。2007年経済学研究科准教授、2012年同教授。17年、アジア開発銀行チーフエコノミストに就任。専門分野は開発経済学、フィールド研究、特に発展途上国の教育開発、貧困問題、政策評価の経済分析。

 今回、バナジー教授の頭脳を解き明かす講師が、アジア開発銀行(ADB)チーフエコノミスト兼経済調査・地域協力局長の澤田康幸氏だ。ADBのチーフエコノミストに日本人が就任するのは澤田氏が初めてである。国際機関で、現在アジアを代表するエコノミストの1人と言ってもいい。

 澤田氏は1990年に慶応義塾大学を卒業し、99年に米スタンフォード大学で経済学の博士号(Ph.D.)を取得しており、米国の経済学界事情にも明るい。開発経済学を専門とし、専門を同じくするバナジー、デュフロ両教授と親交がある。1999年から教壇に立つ東京大学では、同大学院経済学研究科に籍を置いている。バナジー教授、デュフロ教授らの活躍によって開発経済学が著しく発展してきた歴史をよく知る一人だ。

 バナジー教授らの研究手法は、論が先に立つというより、現場での実証実験を繰り返して分析し、因果関係の解明を試みていくスタイルで、いわば「現場主義」。現場に根ざした科学的根拠を究める経済学は、果たして絶望を希望に変えることができるのか?

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