「4P」を踏まえて日本を世界に売り込むには?
【第4章】マーケティングを武器にする
お題(8)[議論]もし首相になったら、日本を世界にどうマーケティングする?
Iさんは、幼い頃から曲がったことが大嫌い。世の中の悪や不正の存在をどうにかしたいと考えていました。自分自身で国民に事実を伝えたい、それによって日本をより良くしたいという思いは大きくなるばかりで、大学生になってからは報道番組のアナウンサーを志しました。そして持ち前の誠実さと人の心に訴えかける芯の強さを認められ、晴れてキー局にアナウンサー職として新卒採用されました。
しかし、アナウンサーとなって10年が経過したときのことです。人気アナウンサーとして日本中に名をはせており、特に主婦層から絶大な人気を誇っていたIさんですが、既に起こった出来事をニュースとして報じる立場では日本を本当に変えることはできないと、仕事のやりがいに限界を感じていました。
そこで以前報道番組でインタビューをしてから、懇意にしている大物議員に相談。日本を変えるのは政治であると志を新たにし、アナウンサーを辞して政界に進出します。大物議員からの強力な後ろ盾もあって、ある代の内閣改造の目玉人事として新人議員としては異例の大臣に大抜てきされました。
その直後に後ろ盾だった大物議員の過去の不正が発覚。自らも大臣を辞職し、党にも離党届を提出して無所属で一から出直すことになりました。
しかし国民は、誠実なIさんを支持し続けました。その後、数々の有効な政策を打ち出して成果を上げてきた結果、日本初の女性首相に指名されたのです。
時は2020年。新型コロナウイルスの猛威で全世界が混乱に陥り、日本も大きな打撃を受けています。そしてIさんが今最も力を入れたいのが、経済の復活です。
特に訪日客が激減し、各業界に大きなダメージが残っています。国土交通省が主管する「Go To トラベル」は10月から東京都にも適用され、徐々にですが国内需要から経済に回復の兆しが見えてきました。ただ、そもそもの日本の人口の減少や平均所得の減少から、将来的にはインバウンド対策が期待されています。
実際に国立社会保障・人口問題研究所の推計によると日本の人口は、2020年から10年間でおよそ7%、20年間で13%ほど人口が減ると予測されています。
やや乱暴な議論ですが、10年後も今と同じことだけを続けていれば7%分の売り上げが減り、20年後には13%減るのです。特に化粧品や食事や観光業といった肌の面積や胃袋の量、そして人口そのものが変わらない限り消費量が変わらないものは、人口減少の影響がそのまま直撃します。
また厚生労働省によると、全世帯平均の平均所得金額は1994年の664万円をピークに2017年の時点では552万円まで下降。この23年でおよそ17%も減少しました。物価も変動していることを踏まえれば、日本の購買力は相対的に低下傾向にあります。そこで外需を獲得する政策が求められるようになりました。
ちなみに有権者は、これまでの内閣が掲げてきたインバウンド政策については一定の評価はしつつも、具体的な施策の内容までは深く知らず、その効果もどれほどなのか認知していません。そこでIさんは、より投資対効果を高め、より国民に分かりやすく、より国民のためになる新たな政策を検討することにしました。
さあ、あなたがIさんなら、どのような政策で日本を世界にマーケティングしますか?
壮大なテーマではありますが、新しい政権に変わったばかりの今だからこそ、皆さんにとっても身近な話題なのではないでしょうか。
なお、最終回のお題は「自分が望むキャリアを主体的に築いていくには」という本シリーズのテーマを超えているように見えますが、日本という国を1人の人間に例えれば、世界という会社もしくは市場でどのようにキャリアを築いていくかにもつながります。これまでに学んだことを応用して、「日本をブランド化する」「世界各国の人の気持ちを読む」「日本のポジショニング」と置き換えて考えてみてください。
そして何より、これまでの7回分の集大成として、皆さんとマーケティング自体のことも議論したいと考えました。今回の課題である世界市場を相手にマーケティングの4Pを踏まえ、取り組むべき課題を明らかにした上で、戦略立案、ゴール設定、施策内容、そして投資対効果の計測についても考えれば、それはまさにマーケティングそのものです。
Raise上で皆さんと議論できることを楽しみにしています。
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【第4章】マーケティングを武器にする
お題(8)もし首相になったら、日本を世界にどうマーケティングする?
大きなテーマではありますが、これまでの学びも生かしながらどう日本が世界に打って出るか、考えてみてください。
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