「足るを知る」の大切さ
「幸せな状態とは」という問いに対して、誰もがまず直感するのが「お金がより多くある」ということですよね。これは、何にでも交換できる万能な貨幣がたくさんあればあるほど、より多くの欲求や願いを満たすことができ、幸せが増幅する、という考え方であろうと思います。
一見納得性の高いこの考え方に、行動経済学の大家ダニエル・カーネマンが行った実験が疑問を呈します。いわく、収入の多寡と幸せが比例するのは年収900万円までだとか。
「相手の心を読む」の回でも紹介した、恣意的に設定した参照点を基準に物事を判断する、という人間の性質を思い出していただけると、これは納得がいくのではないか、と思います。
つまり、収入が上がれば、上がったなりの生活水準が参照点(つまり「当たり前」)になり、それによりもたらされる幸福のレベルが減衰し、さらに高い収入を得たくなる、という無限ループに人は陥ってしまう、というわけです。
ここから言えそうなのは、お金による幸せを感じたければ、人間のこの性質を理解し、「足るを知る」というマインドセットを持つことがポイントになる、ということです。
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