読者の皆さんと一緒に親、そして自分自身の「老い」とうまく付き合うための「エイジングリテラシー」を学ぶシリーズ。今回のテーマは、前回に引き続き、企業が従業員向けに提供している「仕事と介護の両立支援」についてです。皆さんからいただいたコメントを基に、課題について解説します。

「介護と仕事の両立支援」の課題とは(写真:PIXTA)

 リクシス副社長の酒井です。前回は、企業による従業員のための仕事と介護の両立支援について「足りていないところ」について考えてみました。その結論は、企業による従業員の支援は、介護中の従業員についての「リアクティブな支援」に偏っているというものでした。

議論のテーマ(8)
 うちの会社は割と介護の支援にも熱心で、介護セミナーも毎年やってくれています。ただ、私のように親が遠方で一人暮らしをしていて、既に要介護認定を受けているような立場だと、こういうセミナーの話は一般的過ぎて、全く役に立たないなというのが実感です。

 本当に知りたいのは、親に向いたデイサービスはどこかとか(親の住まいは本当に遠方なので選択肢なんてないのが実態なのですが)、月に何度も手続きやサポートのために片道4時間かけて帰省しなくてはならない現状を解決するために、代行してくれる人はいないのかとか、そういうことなのですが……。

 しかし実際には、仕事と介護の両立には、介護が始まってしまう前の準備としての「プロアクティブな支援」も必要なのです。特に、当然ですが、民間の保険会社による介護の保険などは、介護が始まってしまってからでは買うことはできません。

 そうした視点も含め、企業による従業員の両立支援について考えた前回の記事に対して、読者の方々より貴重なコメントを頂戴しました。今回は、そうしたコメントをベースとして、もう少し考えを深めてみたいと思います。

(※引用するコメントは読みやすさを考慮し、一部編集している場合があります)

職場は、仕事と介護の両立における相談先として認識されていない?


KEN.A
 介護に至る経緯は極めて多様であり、介護が必要となる突発的な事象や認知症の問題などケース・バイ・ケースで長期となってしまうケースを含め、多様な状況に対する企業の理解度は低い。管理側の知ったかぶりの多さには閉口させられるが、現場管理者の理解度が低いほど従業員間でのサポート意識が希薄となる。中間管理職クラスに対して必要時のサポート体制をどう構築させるか学ばせることが最優先かなと。

 厳しいコメントです。もちろん、全ての企業がそうであるという意味ではないと思います。ただ、経営者や人事部としては、仕事と介護の両立に直面した従業員が、会社が提供する支援に対して、どのような感情や認識を持っているのかを確認する必要があるでしょう。

 育児の場合と同じように、仕事と介護の両立についても「従業員間でのサポート意識」の醸成が必要になります。育児の場合は、そうしたサポート意識は、既に形成されていることも少なくないでしょう。しかし、介護についてはどうでしょうか。

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