青の線で表現されているのは「脳卒中などで 突然、一気に自立生活ができなくなるパターン」、緑の線で表現されているのは、「老化に伴う虚弱状態が進行し 少しずつ自立生活ができなくなるパターン」を示しています。なお、男性の場合は、緑の線が途中で2つに分離します。男性の75歳以降に示されている10.9%は「中小企業の経営者」のように定年がない職業に就いていることで、社会的な役割を持ち続けることが可能な人たちを示しているとのことです。

(出所:科学技術振興機構(JST)社会技術レポート No.57 秋山弘子 東京大学高齢社会総合研究機構 特任教授(講演日2017年8月22日))<br> (注:男性の10.9%に当たる黄土色のラインのグループに関して、科学的な裏付けはないが、現在の高齢者層において社会的な役割を持ち続けることが可能な「中小企業の社長」のような、定年のない経営者などではないかといわれている)
(出所:科学技術振興機構(JST)社会技術レポート No.57 秋山弘子 東京大学高齢社会総合研究機構 特任教授(講演日2017年8月22日))
(注:男性の10.9%に当たる黄土色のラインのグループに関して、科学的な裏付けはないが、現在の高齢者層において社会的な役割を持ち続けることが可能な「中小企業の社長」のような、定年のない経営者などではないかといわれている)
[画像のクリックで拡大表示]

 青い線で示されている、加齢ではなく、脳卒中など何らかの病気によって健康を失う場合の原因となっているのは、生活習慣であることは、広く知られている通りです。以下、介護が必要になるときの原因に関する調査結果を見てみます。

(出所:厚生労働省「2010年 国民生活基礎調査」)
(出所:厚生労働省「2010年 国民生活基礎調査」)
[画像のクリックで拡大表示]

 全体として見ると、私たちの健康は、時間とともに少しずつ失われていきます。ただし、食生活の偏り、運動不足や睡眠不足など、生活習慣に問題があると、老化とは関係なしに健康寿命が短くなってしまうのです。

 こうした状況において、健康寿命を延ばすということは、第1に、生活習慣を見直しつつ、予防に努めることであることが分かるでしょう。より良い生活習慣を身につけることで、急に介護が必要になる可能性を減らすというのが、第1の戦略なのです。

第2の戦略:老化による健康状態の悪化を回避する

 急に健康状態が悪化することが回避できたとしても、私たちの老化は進んでいきます。老化は、急に進むのではなく、徐々にフレイル(虚弱状態)になっていくことで顕在化してきます。以下、歩行速度から考えたフレイルの進行について確認します。

(出所:厚生労働省「2010年 国民生活基礎調査」)<br> (注:フレイル状態か否かは、医学的にも歩行速度などのいくつかの身体指標によって測定される)
(出所:厚生労働省「2010年 国民生活基礎調査」)
(注:フレイル状態か否かは、医学的にも歩行速度などのいくつかの身体指標によって測定される)
[画像のクリックで拡大表示]

 日本における65歳以上の高齢者の33%(1176万人)がプレフレイルに相当し、11%(412万人)がフレイルであると考えられています。大切なのは、フレイルになったとしても、適切な介入によって、健康状態を改善できる可能性があるということです。

 この段階で具体的に検討すべきなのは、良質なたんぱく質など、必要な栄養素をバランスよく取ること、適度な運動を続けることなどです。栄養士や理学療法士などの専門家の支援を受けながら、フレイルを脱するための努力が求められます。

 では、まずは何をしたらよいのでしょうか。

次ページ 第3の戦略:フレイルかどうか、自らの状態を知る