読者の皆さんと一緒に親、そして自分自身の「老い」とうまく付き合うための「エイジングリテラシー」を学ぶシリーズ。今回から、「老いに伴う体の変化」について考えます。

 今回は、筆者である酒井穣氏と同じ、「団塊ジュニア世代」に特にフォーカスして考えます。皆さんの体験談や悩みなど、ぜひコメント欄でシェアしてください。

団塊ジュニア世代の皆さま、健康寿命に気を配っていますか(写真:PIXTA)
団塊ジュニア世代の皆さま、健康寿命に気を配っていますか(写真:PIXTA)

 リクシス副社長の酒井です。私自身、団塊ジュニア世代(1971~74年生まれ)に属するのですが、あと10年ちょっとで、この年代が定年退職となることに思いを巡らせると、なんとも複雑な気持ちになります。

 この年齢になると、10年といった時間がいかに早く過ぎていくかが自覚されます。例えば、東日本大震災から、もう10年です。初代iPhoneの登場からだと、もうすぐ14年です。フェイスブックが始まってからは、16年が過ぎました。グーグル検索のサービスが始まってからは、既に22年がたっています。

 私たち団塊ジュニア世代が高齢者になるのは、近未来のことです。そして団塊ジュニア世代は広く認識されている通り、不遇の世代です。雇用は不安定で非正規が多いという特徴があります。そのような環境のため貯蓄も進まないまま、年金不安も抱えています。

 そうした背景から、団塊ジュニア世代の多くは、定年退職後も、できる限り長期にわたって働き続ける必要があります。人工知能の台頭による雇用不安もあり、その前途は多難です。それでもとにかく、生涯現役を覚悟し、自分たちの人生を切り開いていかなければなりません。

 そんな人生の先行きを考える上で、健康寿命(介護などを必要とせずに生きられる年齢の上限)を引き延ばしていくことは、生活の前提となる重要なテーマです。健康寿命を延ばしつつ、仮に介護が必要となったとしても、その重度化を避けるために必要となるのが、本シリーズのテーマである「エイジングリテラシー」です。今回は、私たち自身に介護が必要になるときの、その境界条件について基本的な考え方を見てみます。

議論のテーマ(7)
新型コロナウイルスの感染拡大でリモートワークの日々が続いています。最初の頃は毎日3キロほどジョギングしていたのですが、それにも飽きてしまいました。40代後半に突入し、気が付けば腹の回りの肉はたるみ、ちょっとした運動ですぐに筋肉痛になるほどで、明らかに体力が衰えています。一方、「食欲の秋」のせいか、ついつい食べ過ぎてしまう傾向にあります。健康を維持するために、今日から何をしたらいいでしょうか。

(46歳 男性 会社員)

第1の戦略:急に健康状態が悪化することを回避する

 もちろん個人差はあるのですが、私たちの健康状態は、時間とともに徐々に悪化していくケースが大多数となっています。まずは、こうしたファクトを確認するところから始めましょう。次ページのグラフを見てください。

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