本研究結果は、顔の見えるSNS(LINEなど)であれば、精神的な健康の維持に役立つ可能性を示している一方、匿名性と自由度の高いSNSはその逆の危険性を含んでいる可能性を示唆しています。

 また、米国の最新研究でも、たった10分の「赤の他人」からの電話が、高齢者の孤独感を4週間で20%以上低下させた、という興味深い論文が出ています。

 この研究は、240人の高齢者について、電話をもらう介入群と電話をもらわない介入群とに分けた後、17~23歳の若者16人が4週間、それぞれ6~9人の高齢者に定期的に電話をかけ、介入前後で孤独感のスコアを測るというもの。

 電話をかけた若者16人は専門家ではなく、共感的なコミュニケーションについて1時間ほどの研修を受けた一般人。最初の5日間は毎日電話をかけ、その後は高齢者の希望に応じて週2回まで電話の頻度を減らす選択肢を設けたものの、被験者の半数以上が週5日間の電話の継続を希望したとのこと。

 1回の通話時間は約10分。それでも4週間続けることで相手の孤独感、憂鬱感、不安感を2割以上和らげられたわけですから、「顔の見える」コミュニケーションの重要性がいかに大切かを痛感します。

(資料:「Effect of Layperson-Delivered, Empathy-Focused Program of Telephone Calls on Loneliness, Depression, and Anxiety Among Adults During the COVID-19 Pandemic」

 ネットやSNS、電話。必ずしもリアルではなかったとしても、互いに共感しあうコミュニケーションができることが、これからの時代、さらに重要になってくるということでしょう。

孤独は、高齢者だけに特有の問題ではない――全世代の問題として共感と関与を

 なお、こうした「孤独」は、今や決して高齢者だけに特有の問題ではありません。

 東京都健康長寿医療センター研究所が2020年8~9月に実施した、25484人を対象とするインターネット調査によれば、コロナ禍による社会的孤立の拡大傾向は、男性高齢者に特に顕著ではあるものの、若手中堅層を含む全世代に広がっていることが分かっています。

 大きな構造変化がおき、すべての人が孤独を感じやすい今だからこそ、「世代を超えて」互いに気軽につながり、共感しあえるチャンスなのかもしれません。

 一人ひとりが自分や家族の中に潜む「孤独」の存在を客観的に理解し、深刻な状況に陥ってしまう前に、友人とLINEでつながってみる、しばらく連絡していない高齢の親に10分電話してみるなど、身近なことから取り組み始めるのも一案かもしれません。

 現在、「孤独感」を計測するための指標として世界で幅広く使われている「UCLA孤独感尺度」(下図)は、1978年にカリフォルニア大学ロサンゼルス校の3人の研究者が、孤独という主観的な感情を数値的に測定しようと考案したものです。

[画像のクリックで拡大表示]

 20の質問は、回答者が他人とどのくらいつながり、サポートされ、ケアされていると感じるかとともに、どのくらい排除され、孤立し、誤解されていると感じているかも測定しています。

 合計点が28点未満であれば、孤独度は低い
 合計点が44点以上であれば、孤独度が高い、という判定となります。

 よろしければ皆さんもぜひ、当てはまるものに〇をして、ご自身の孤独感のレベルを試しに計測してみてください(一部の質問項目は回答番号を反転して計算する必要がありますのでご注意ください)。

 次回もよろしくお願いします。

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