(写真:PIXTA)
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 今回は、そもそも介護について考えることができているか、というテーマです。介護については「できれば考えたくない」という人がほとんどでしょう。しかし、介護を必要とせずに人生を終えられる人は、全体のわずか5%程度(医学的な急死)にすぎません。残りの(ほとんどの)人は、人生の終盤において、程度の差はあれ、介護されて亡くなっていきます。

 自分のこととしてではなく、親の介護もこれに含めた場合、介護と無縁でいられる人生というのは、例外中の例外であることが理解できると思います。しかも、これからの介護は過去の介護とは異なり、兄弟姉妹が少なく、共働き世帯が増え、未婚の人も多い中での介護であり、これまでとは比較にならないほど個人の負担が大きい介護になっていきます。

 人口構造として、これから2040年くらいまでの期間は、80代の人口だけが大幅に増加します。高齢者における介護を必要とする人の割合(要介護出現率)は、80~84歳では26.4%、85歳以上では59.8%となっています(公益財団法人生命保険文化センターによるデータ)。これに対して現役世代は人口を大幅に減らしていくのですから、個人の負担が急増するのも当たり前です。

災害対策はするけれど……

 私たちの多くは、地震や台風による災害については「いつかは自分にも起こること」として警戒し、何らかの対策をしているものです。水や保存食を多めにストックし、災害ラジオや予備電源を持ち、避難場所を確認しつつ避難訓練を受け、リテラシーのアップデートも欠かさないでしょう。では、介護についてはどうでしょうか。

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