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 さて、第1回では、新型コロナ感染予防のために外出を控えている親御さんの健康維持に対する不安を取り上げたいと思います。

 今回のコロナ禍は、世の中の人々の日々の生活を、大きく激変させました。特に、高齢者の方々は感染すると重篤化リスクが高いことが分かっているため、ご本人も周りのご家族も、日々の生活行動の選択に大きな制約と不安を感じられていることでしょう。

 今年4月から5月にかけて全国的に緊急事態宣言が発令されていた期間にリクシスが行った現役世代向けアンケートでも、7割の方が高齢の親御さんのことを以前よりも気にかける機会が増えたと回答しています。

 寄せられた声の中には、以下のようなご家族のお悩みも多くありました。一部抜粋してご紹介します。

「外出自粛が叫ばれて以降、母は心身ともに急速に衰えてきているのを感じます。このままでは歩くこともままならなくなってしまいそうな、親の心身の機能をなんとか維持することを最優先に考えています」

「親にとっては孫と触れ合う時間がとても大切だろうと、今はオンラインでの会話の機会を提供するなどしていますが、直接会えない状況が長期化した場合、ストレスがたまる要因の1つにもなってしまうのではないかとちょっと心配です」

「助け合いたい気持ちはあるのだが、もともと価値観や今回の新型コロナウイルスの感染予防に対する考え方の違いなどがあってコミュニケーションが難しい。また、新型コロナの影響で、自分たち自身の生活に精いっぱいというのが本音で、親とどう助け合ったらいいか分からない」

 実際に、この間の高齢者の方々の生活変化をデータで見てみると、皆さんの声を裏付けるような深刻な実態が数字でも浮き彫りになってきています。

高齢者の身体活動時間は3割減、孤独・無気力感に懸念

 国立長寿医療研究センターが先日発表した4月末の調査(東京・大阪などに住む65歳から84歳の男女1600人対象)では、高齢者の1週間当たりの身体活動時間は緊急事態宣言後約3割も減少していることが判明しており、「何らかの運動をしている」と答えた高齢者は、僅か2人に1人(50%)にとどまりました(出所:高齢者の感染予防と身体活動の重要性)。

1週間あたりの身体活動時間(分)の変化
出所:国立長寿医療研究センター「高齢者の感染予防と身体活動の重要性」

 また、新潟県見附市と筑波大学久野研究室の共同調査2020によれば、市の健康運動教室が休止したことにより、社会参加・会話の頻度が減少し、結果として多くの方々が孤独を感じ、無気力感を抱いている現状が明らかになっています。

見附市の健康運動教室休止2カ月後の調査
運動不足や社会参加の制限による影響
出所:新潟県見附市と筑波大学久野研究室の共同研究2020

 新型コロナウイルス感染の第2波、第3波も懸念される中で広がる、高齢者の「運動量の低減」「コミュニケーション頻度の低減」「無気力感・孤独感の増加」。私たちは、感染症リスクの反対側にあるこれらリスクを、どのように捉え、どう備えるべきなのでしょうか。また、家族として少しでもリスク回避につながる行動ができるとすれば、一体どんなことなのでしょうか。

 ぜひ皆さんからも、このテーマに関する具体的な行動事例や、行動の難しさについてのお悩みをお寄せください。

【議論への参加方法】

議論のテーマ(1)
新型コロナウイルス感染予防のための外出自粛以降、遠方に住む親の様子を聞くと、家に引きこもりがちになってしまっているようです。どうしたらいいでしょうか。

 上記のテーマのような悩みを抱えている読者の皆さんも少なくないと思います。皆さんが直面している悩みや、課題を解決するために取った行動、そして、行動するうえでの難しさなどについて、皆さんの考えをコメント欄にお寄せ下さい。

 次回は、このテーマの大前提となる、運動量やコミュニケーション頻度が老化や健康に与える影響について考えていきたいと思います。皆さんからいただいたコメントにも回答しながら、最新の「エイジングリテラシー」をご紹介しつつ、具体的に取り得る選択肢を解説します。

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