
日本は、世界で最も高齢化した国です。団塊の世代が75歳を突破する2025年からは、高齢化の社会への影響がより顕著になると考えられており「2025年問題」として恐れられています。そうした未曽有の危機において、大きな期待が寄せられているのが「かかりつけ医」です。
「かかりつけ医」とは、日本医師会の定義によれば「何でも相談できるうえ、最新の医療情報を熟知して、必要なときには専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療・保健・福祉を担う総合的な能力を有する医師」のことです。利用する側からすれば、いざというときの窓口として機能するのが「かかりつけ医」ということになります。
世界的には「かかりつけ医」は広く一般的に病気に対応し、適切な専門医につなぐ役割を担っています。これに対して日本では、中小規模の病院や診療所が多く、専門医が「かかりつけ医」の役割を担う形になるケースが一般的です。端的に言えば、日本の専門医療は現場に密着しており、日本人は、いきなり専門医に診てもらえるぜいたくな環境にあるということです。
ただし、諸外国と比較したとき、日本の医師数はかなり少ない(例えば人口1000人当たりの医師数は、ドイツ4.4人に対して日本は2.5人。「OECD Health at a Glance 2021」)ため、現場の医師が、こうした社会的な期待に応えられるかどうかは不安です。とはいえ、私たちは、まず「かかりつけ医」について理解し、それに頼っていくことを考えなければなりません。今回は、そんな「かかりつけ医」について、考えてみます。
「かかりつけ医」の機能とは
日本医師会と四病院団体協議会の合同提言(13年)において「かかりつけ医」の機能が明確に示されました。この提言にしたがって「日医かかりつけ医機能研修制度」が16年からスタートしています。さらに日本医師会は「かかりつけ医のための認知症マニュアル」を発行(15年)しており、この研修制度の中でも、認知症への対応が、重要なカリキュラムの一部として入っています。
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