読者の皆さんと一緒に親、そして自分自身の「老い」とうまく付き合うための「エイジングリテラシー」を学ぶシリーズ。今回のテーマは、「団塊の世代」が後期高齢者となり、その子供世代である「団塊ジュニア」が介護するケースが多くなる「2025年問題」にどのように備えるかを考えます。ぜひ、皆さんの体験談や悩みなど、ご意見をコメント欄にお寄せください。

(写真:PIXTA)
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 こんにちは。リクシスで代表を務めています佐々木裕子です。

 今日は、目前に迫る構造変化、「2025年問題」について取り上げてみたいと思います。

 2025年問題とは、我が国の人口の最大のボリュームゾーンである「団塊の世代」が、「後期高齢者」に突入する構造変化のことを指します。

 現在の日本の「平均寿命」は、男性が81歳、女性が87歳ですが、「日常生活に支障なく暮らせている」と答える最高年齢の平均、つまり「平均健康寿命」は、それより9~12歳前後若い、男性72歳、女性75歳です。

 すなわち、「後期高齢者」になるということは、この「日常生活になんらかの支障がありながら日々生活する確率が高いゾーンに入ってくる」ということであり、実際の統計値をみても、「要介護認定率」も「投下される医療費」もその前に比べて格段に上がる年代となります。

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 一方、日本の人口ピラミッドをみると、他の年代に比べて格段に人口が多いボリュームゾーンが2つあります。1つは「団塊の世代」。そしてもう1つが、その子供たちの世代である「団塊ジュニア世代」です。

 つまり、「団塊の世代」が後期高齢者ゾーンに入るということは、人口の多いこの2つの年代層が、一斉に「老い」と「介護」に向き合い始めるということです。ここから数十年は、この前の数十年とは大きく異なる、「本格的な超高齢社会への突入」を象徴する構造変化が起きると思います。

「介護家族の若年化」と「仕事と介護両立問題」の加速
<span class="textColTeal fontSizeL">「介護家族の若年化」と「仕事と介護両立問題」の加速</span>
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 そしてもう一つ忘れてはならないのは、少子化が進み、共働き世帯も急速に増えている、という構造変化も同時並行で起きているということです。

 これは何を意味しているかというと、家族・親族の中で「ケアする側の人数」よりも「ケアされる側の人数」のほうが多く、かつ、「ケアする側が仕事を持っている割合は格段に高くなった」ということです。

 この結果、最近の「介護」の問題は、その下の孫世代にまで影響を及ぼしつつあります。これまで同様、家族がメインで関わっていく介護モデルを維持する限り、その下の世代まで巻き込まなければ、構造的にリソースが足りない状況になるからです。

 「ヤングケアラー」という言葉が注目され始めている通り、10代から祖父母の介護などに関わる若者も増えてきました。

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