たとえば毎月5万円を、定年退職(60歳とする企業が9割以上)から男女平均の寿命(約84歳)までの24年間持ち出すとすると、1440万円になります。ただし、持ち出すのが毎月ゼロなのか、5万円なのか、または10万円なのかは個人によってかなり異なります。ここが毎月いくらなのかは、ある程度、それぞれに計算のできる話でしょう。また、平均を超えて長生きすることも想定する必要があるかもしれません。
ただ、hiroさんのご指摘通り、これは、インフレを考えない場合の話です。インフレによる物価の上昇があれば、こうした数字は、より大きくなります。インフレを想定する場合、働いて得られる給与も額面として大きくなる可能性があります。そうなると、より一層、働き続けることが重要になってきます。少しでも健康に、できるだけ働きながら生きることが大事という部分は、変わらないでしょう。
同時に「日本の社会福祉は危機的な状況にある」のですから、介護保険料に限らず、今後、様々な税金が上がっていく可能性にも注意が必要です。実際に、40歳以上の人であれば毎月支払っている介護保険料(広義には税金の一種)は、上がり続けています(グラフで示したのは第1号被保険者のもので、65歳以上の保険料ではありません)。余談ですが、消費税が上がることには大きな反発があるのですが、こうした見えにくい税金が上がることには、それほど反発が起こらないのは不思議です。
それぞれの生活は異なり、ばらつきが大きいため、こうした平均での話には意味がないという立場もあります。それでも、だからこそ「それぞれに将来の生活に必要となるお金や保険の計算をする必要がある」という点については、皆様にも合意いただけるところではないでしょうか。特に保険は、健康に問題が発生してからでは加入できなかったりもします。検討する場合は、早いに越したことはありません。
そうした、人それぞれ異なる生活をベースとして、お金や保険のことを相談する先としては、やはりファイナンシャル・プランナーということになるかと思います。そこで、前回の記事においては、保険の見直しを前提としている相談は無料であることが多いと述べました。しかし、naokunさんのご指摘により、この表現は不正確であったと反省しています。
金融機関の代理店としてのファイナンシャル・プランナー、または所属している特定の保険会社の商品を取り扱うファイナンシャル・プランナーは、先の記事でも述べた通り、無料であることがほとんどです(相談回数によっては有料になる場合もあります)。保険の見直しを前提としている相談であれば、こうした無料相談が使いやすいと思います。
しかし、naokunさんのおっしゃる通り、相談を専門として扱い、基本的には金融商品を取り扱わないファイナンシャル・プランナーは、有料です。相談料は1時間あたり5000円未満から2万円以上まで幅広いようです。
有料のファイナンシャル・プランナーには、より中立的な立場が期待でき、先に述べたようなFUDもないと考えられます。また、相談のみからフィーをもらうケースが多いため、金融商品の押し売りなどをされることもなく、より偏りのない意見が聞ける可能性が高まりそうです。
最終的には、信頼できるファイナンシャル・プランナーに出会う必要があります。そのためには、無料相談を受け付けている複数のファイナンシャル・プランナーに会ったり、時には有料のファイナンシャル・プランナーへの相談も検討したりしてみるのがいいと思われます。ここも自助の自己責任ということになるのは、福祉国家としてはどうなのかと思わざるを得ませんが、それが現実なのでしょう。
最後に、石田修治さんのコメントをご紹介します。実際の事例として、とても参考になりました。企業年金の最低保証期間のことや、家族介護に期待していないことなど、皆様もぜひ、読んでいただきたいと思います。
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