(写真:PIXTA)
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 前回は、民間の介護保険に関して考えてみました。自動車保険に強制加入と任意加入の保険があるように、介護保険にも強制加入(公的な介護保険)と任意加入(自己責任で決める民間の介護保険)があります。自動車の任意保険には72.2%が加入していますが、介護の任意保険には16.7%しか加入していません。

 実際に自動車事故を起こすかどうかは、正確にはわかりません。しかし概算として運転者が10年間で事故に遭遇する確率が13%程度、30年で33%程度となることを考えると、自動車事故と介護の発生確率は、近いイメージです。もちろん、実際に運転している年数は人によってまちまちなので、これは、あくまでも目安です。

注:グラフは生命保険文化センター、厚生労働省「介護給付費等実態統計月報」や総務省「人口推計月報」のデータを基に作成。事故率は過去の交通事故発生件数などを基に筆者試算
注:グラフは生命保険文化センター、厚生労働省「介護給付費等実態統計月報」や総務省「人口推計月報」のデータを基に作成。事故率は過去の交通事故発生件数などを基に筆者試算
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 実際に在宅介護となった場合、平均で毎月7万円程度の持ち出しになります。老人ホームなどの施設介護となった場合は、より多くのお金が必要になります。誰もが、いざ介護となった場合、そのためのお金に困らないよう、貯蓄や保険について考えなければならないわけです。なかなか考えたくない話題なだけに難しいのですが、どんなに気をつけていても、確率の問題として介護が必要になることがあります。

 今回は、そんな前回の記事に頂戴したコメントを振り返りながら、もう一歩、民間の介護保険について考えてみたいと思います。


Taka
共助はあてにならないよ。公助は介護保険料の元を取れたらいいなって感じ。(中略)自助しか頼りにできないです。先ず第一に健康管理をして健康寿命を延ばす。家族と自分の終末医療を共有する。

 過去には高齢者福祉のための財源を、多くの現役世代が支払っていました。しかしこれからの時代は、急速に減っていく現役世代と、逆に増えていく高齢者世代という逆転の図式になっていきます。高齢者1人あたりに使える福祉財源は、どうしても厳しくなります。

 そうした社会環境の変化を考えると、自助の部分が大きくならざるを得ないはずです。私たち自身のこととしては、Takaさんがおっしゃる通り「健康管理をして健康寿命を延ばす。家族と自分の終末医療を共有する」といったことが重要になると考えられます。そのためのエイジング・リテラシーは、今後、ますます重要になるでしょう。

 同時に、どんなに健康に気をつけていても、病はそうした意識とは関係なくやってくることもあります。健康管理は重要ですが、自分ではどうにもならないこともあります。介護の民間保険についても、自分でできることはやった上でのリスクをどうカバーするかということになりそうです。

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