読者の皆さんと一緒に親、そして自分自身の「老い」とうまく付き合うための「エイジングリテラシー」を学ぶシリーズ。今回は、高齢の親が介護施設に入居するタイミングについて、前回の議論で皆さんからいただいたコメントを踏まえて解説します。

リクシスでチーフ・ケア・オフィサーを務めている木場です。
前回は、実際の相談事例を基に「高齢の親が介護施設に引っ越すタイミング」について考えました。その中で、施設入居を考える前に家族で確認したいことと、実際に高齢で転居される場合の相場についてお伝えして、皆様のご意見を求めました。
今回は、前回の記事に対していただきました皆様のコメントを基に、もう少し考えを深めてみたいと思います。
本人が意思決定できる元気なうちに入居すべきか
(※引用するコメントは読みやすさを考慮し、一部編集している場合があります)
いつかは介護施設に入居するという前提であれば、Makitaさんのおっしゃる通り、比較的元気なうちに転居をしたほうがリロケーション(引っ越し)のダメージを小さくできる可能性は高く、自分自身で意思決定ができるうちに転居したほうがよいように思えます。
Taroさんからは実際に家族で相談して親御さんが健康型有料老人ホームに入居されたという貴重なお話をいただけました。
実は、自立のうちに入居する健康型有料老人ホームは、まだ数えるほどしかありません。お互い納得の上で選択できただけでなく、お母様が転居後の生活に満足されているというのは素晴らしいことだと思います。
施設に入居している人の8割は認知症が発症してから転居している
ただ、全体で見ると、早い段階で施設などに入居する方はそう多くないようです。前回も紹介しましたが、LIFULL seniorが2020年11月に発表した資料によると、80代で入居する人が最も多くなっており、入居時に介護が必要ない「自立」した状態だった人は5.2%にすぎません。
また、入居時に認知症の症状がある人が8割以上という結果も出ており、本人や家族が困ってから入居する場合がほとんど、という割合に見えます。
急に親御さんが寝たきりになり入居先を探したという技術者さんの話は、高齢の親を持つ誰にも起こりうることです。
多くの方が困ってから転居先を探し、「運」に頼らなければならない現状にもかかわらず、早い段階で転居する方が少ない理由は他の方のコメントにも表れています。
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