
リクシスでチーフ・ケア・オフィサー(CCO)を務めている木場猛です。今回は、サポート付きの高齢者住宅など、介護施設への入居・引っ越しのタイミングについて、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。年末年始に高齢の親や親族と会い、介護施設への入居が話題になったという方もいらっしゃると思います。まずは、次のような悩みを抱えたケースを考えてみましょう。
議論のテーマ(9)
年末年始で久しぶりに両親に会ってきました。変わらず元気そうなのでホッとしたところですが、まだ70代なのに、高齢者施設の見学に行ってみようかと考えているとのことでした。
仕事や子供の教育環境を考えると、自分が親元に戻ることはできないし、基本的に本人たちの考えに任せるべきなのだろうと思いますが、ふと寂しい気持ちにもなりました。
親たちもすぐには引っ越す気はないようですが、例えば、サポート付きの高齢者住居などに引っ越すとしたら、どのようなタイミングがいいのでしょうか。
相談内容を見る限り、親御さんが早い段階でご自身の介護について準備を始めているということですので、それ自体は良いことだと思います。家族が介護を行うことは難しいという点では、既に合意が取れているように見えます。
今後どんな生活があり得るのかイメージする上で、高齢者向け住宅を見学してみることも悪くはないでしょう。
ただ、公的な介護サービスを利用して自宅で過ごすなど、介護施設や高齢者向け住宅への転居以外の選択肢も考慮した上でのお話なのか、もう少し確認したいところです。
相談者が「ふと寂しい気持ちになりました」という気持ちになっているのは、取り得る選択肢について、またそれぞれのメリットやデメリットについての情報を家族の間で共有していないためかもしれません。
介護施設や高齢者向け住宅への転居のタイミングを考える前に、まずご家族で確認しておいてほしいことをお伝えします。
転居以外の選択肢も検討
在宅で受けられる公的な介護サービスには、自宅にヘルパーや看護師などが訪問して介護サービスを提供する訪問型のサービス、送迎を受けて介護施設に通い、日中を過ごすような通所型のサービス、1泊~数カ月の期間で施設に宿泊することができる短期入所型のサービスがあります。
また、小規模多機能型居宅介護のように、それぞれのサービスを組み合わせて利用できる月額定額型のサービスもあります。