(写真:PIXTA)
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 前回は、年末年始の帰省時に(可能なら)実施しておきたいアクションについて取り上げました。写真の整理で、色々と新しい発見があったなら喜ばしいことです。地域包括支援センターを訪問してのケアマネジャーとの名刺交換は、年末年始のお休みと重なり、難しかったかもしれません。運転のリスクチェックや、いざというときのためのお金の話までできたという読者は、介護の不安が少しは減らせたのではないかと思います。

 そうして、年末年始にアクションが取れた読者は、次のステップとして、一般論ではなく、個別具体的な対応に移行したいところです。何事もそうですが、1つの不安が解消すると、次の不安が出てくるものです。ただし、そうして新たに生まれてくる不安は、粒のサイズが小さくなっているはずです。

 例えば、介護にかかるお金が不安だったとしても、具体的にいくら足りないのかイメージができたらどうでしょう。介護に関する民間の保険の検討や、不動産の売却などによるキャッシュの確保など、不安は消えないものの、より個別具体的な相談ができる状態になっているでしょう。なんとなく不安という状態から、具体的に何に困っているのかまで、不安の粒のサイズを小さくしていくことが、適切な支援を受けるためには必要になってきます。

 さて今回は、そんな先の記事に対して頂戴したコメントを踏まえつつ、現在または将来の介護を考える上で、どういったことが課題になるのか、もう少しだけ皆様と考えてみたいと思います。年末年始、残念ながら介護リスクを下げるようなアクションが取れなかった読者にも、参考になることがあれば幸いです。

認知症は親のリスク。でも、自分自身のリスクでもある

 親の介護にかかる費用は、基本的に親の資産から捻出する必要があります。親が認知症になることを想定する場合、事前に、家族信託や成年後見人などを検討しておく必要があります。さもないと、親の口座が凍結された場合、介護の費用は、子供や親族が支払っていくことになってしまう可能性があるからです。

ダメおやじ

親は開示してくれないこともある。
というか、聞いたら積極的に開示する親がどれだけいるのかと思う。

 しかし、コメント欄で、ダメおやじさんが指摘している通り、そうした介護のための準備として、親と、親の資産の取り扱いについて話をするのは簡単なことではありません。少なからぬケースで、親は、子供や親族に対して、自らの資産状況を積極的には開示しようとしないのではないかと思われます。

 ダメおやじさんは、この問題に対して(1)大変な状況になる前に親子の信頼関係を築いておくこと(2)認知症は親だけのリスクではなく自分自身のリスクでもあることを自覚しつつ、自身の資産については、自分から子供や親族に開示しておくことが大事だと述べられていました。全く同感です。

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