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 日経ビジネス主催の「日経ビジネスLIVE」のWebセミナー(ウェビナー)シリーズ「ニューノーマル時代の成長戦略~新たな長期的価値の創造~」(Platinum Partner:EY Japan、Gold Partner:ServiceNow Japan)のDay5が7月30日に開催された。この日のテーマは「激変する消費」。ホームセンター首位、カインズの高家正行社長が登壇し、「消費の『ニューノーマル』をどう捉えるか」を演題に、緊急事態宣言下での会社としての決断や消費の現状などを議論した。(今後開催のセッションはこちら

 流通大手ベイシアグループの中心的企業であるカインズ。2019年度の売上高は4410億円と十数年ぶりに国内ホームセンター業界で首位に立った。新型コロナウイルスの感染拡大という事態を踏まえて高家氏は「コロナ禍という有事の時に、我々のようなホームセンターの価値や役割は何かと改めて問われた」と振り返った。政府による緊急事態宣言の発令時、ホームセンターも休業要請の対象業種になる可能性があったことから、営業継続をめぐっては「幹部で議論をした」(高家氏)という。

新型コロナをきっかけに「成長できるプレーヤーとそうでないプレーヤーがはっきりしてくる」と述べたカインズの高家正行社長

 結果的にホームセンターは休業要請からは外れた。東日本大震災や大型台風が直撃した時なども店を開いてきた経験から「お客様のライフラインとして、日常の暮らしを支え、地域社会に貢献するという自負があった」として、営業継続を決めた。6月には「雇用創出も小売業の地域貢献」(高家氏)として、3000人の採用枠を設けることも打ち出した。

1月から衛生用品、4月以降は巣ごもり需要

 コロナ禍で需要が高まったホームセンター業界。実際に何が売れていたのか。高家氏は「マスクや消毒液などの衛生用品は1月ごろから高水準」の売れ行きだったと振り返った。4月に緊急事態宣言が発令されて以降は、これらに加え、「外出自粛の中で『おうち時間』をどれだけ、自分らしく快適にしていくか。いわゆる巣ごもり需要が伸びてきた」という。

 巣ごもり需要で売れた商品については「収納、グリーン、ガーデニング関連と、家を手直しするための家庭用塗料などがこの期間爆発的に売れた」と例を挙げた。宣言の解除後も、衛生用品と巣ごもり需要の商品は引き続き高い水準で売れているという。

 この消費動向は今後どうなるのか。高家氏はかつてSARS(重症急性呼吸器症候群)が発生した際、中国でEC(電子商取引)が伸びたと指摘。「インパクトの大きいパンデミック、あるいは有事であるほど、その後に社会や消費の変化が必ず起きる。揺り戻しはあるが、不可逆的な変化が起こるのではないか」と提起した。

 今回のコロナ禍も、「『振り返るとここがターニングポイントだった』ということが起きている」と指摘。在宅勤務の広がりが大きな影響を与えたとみる。「通勤時間とは何だったのか、家での時間を充実させよう、ということに意識が向き、そのニーズは継続するのではないか」と述べた。そこで、料理を楽しんだり掃除を徹底的にやったりという「暮らしをよくすることに関連する消費はこれからますます伸びると思う」と予測した。