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 日経ビジネスが主催する「日経ビジネスLIVE」のWebセミナー(ウェビナー)シリーズ「ニューノーマル時代の成長戦略~新たな長期的価値の創造~」(Platinum Partner:EY Japan、Gold Partner:ServiceNow Japan)が7月22日に開催された。第1セッションでは「人材を生かす新時代の雇用とは」をテーマに、ソフトバンク専務執行役員兼CHRO(チーフヒューマンリソーシズオフィサー)の青野史寛氏、カゴメ常務執行役員CHO(最高人事責任者)の有沢正人氏が登壇。アフターコロナ時代の働き方について議論した。(今後開催のセッションはこちら

 ソフトバンクとカゴメは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、現在は原則として在宅勤務の態勢をとっているという。青野氏は、一時は、販売職を除いたソフトバンクの従業員のうち9割以上が在宅勤務となったと述べた上で、在宅勤務における生産性について従業員を対象に実施したアンケート結果を紹介。「全体の8割が上がった、もしくは変わらないと回答している」と話した。

「人事のプロ」として、様々な改革を手掛けてきたソフトバンクの青野史寛・専務執行役員兼CHRO(左)とカゴメの有沢正人常務執行役員CHO

 青野氏はこの在宅勤務率を実現できた理由として、「ここ十数年間、テクノロジーを使ってワークスタイルを転換してきたからだ」と説明。スマートフォンやタブレットを全社員に配布し、いつでもどこでも情報を得られる態勢を構築したり、2011年にペーパーレス化を推進したりしてきたという。2018年には全社員に在宅勤務を導入し、月1回ほどのトライアルを行うなど、大規模災害への対応として「事業継続の観点で2年ぐらい前から準備していた」という。

在宅勤務では指示待ちではない人材が不可欠

 一方、カゴメも「現在は原則在宅勤務」(有沢氏)という。有沢氏は新型コロナ後の働き方について、「すぐには工場や物流を在宅勤務にはできない。そのため何らかの形で社員の平等性を保ちたい」と話し、工場を持つメーカーとして直面する課題に触れた。「営業は対面営業とリモート営業のハイブリッドに」とした上で「会社でやるべき仕事はそんなに多くないと気付いたが、部門を越えた連携には顔を突き合わせた方がいい」と述べた。

 コロナ禍前からのテレワークの整備が現状で功を奏しているソフトバンクの青野氏も、在宅勤務が長期化したり制度化したりする際の課題は認識している。「今うまくいっているのは、今までの社員同士の信頼関係があるから。5年、10年続けていった場合、転職者や新入社員の育成、企業カルチャーの維持ができるのかは読み切れない」(青野氏)。

 在宅勤務では上司と部下の関係はどう変わるのか。有沢氏は「会わなければ関係を維持できないというわけではなく、根本的な変化は起きない」と指摘。カゴメでは部下がどういう業務をやるかなどをオンラインで入力し、上司が管理に利用しているという。従業員は1日の終わりに成果を入力したり、困ったことがあれば上司にビデオチャットで聞いたりしているという。

 青野氏は、在宅勤務で特に求められる上司や部下の姿勢について、「指示待ちではなく、自発的に仕事を作り上げていく部下が必要」と述べると同時に、上司には「部下が自発的に仕事を作り上げていくような状況をどう描いていくかが求められていく」と強調した。

ジョブ型では客観評価がより重要に

 在宅勤務が浸透したことで、職務内容を明確にし最適な人材を採用・配置する「ジョブ型」雇用への関心が高まっている。カゴメは2013年から、ジョブ型の仕組みづくりを始めているといい、有沢氏は「できるだけ成果を定量化することが重要」と指摘した。一般に、ジョブ型では短期的な成果主義に陥りがちになるという懸念も指摘されるが、有沢氏は「何をいつまでにどれくらいやるのかを決めておき、進捗状況を上司が折に触れてチェックをすることで、成果だけでなく仕事のプロセスの評価も可能になる」と指摘。「誰が見ても判断できるように、客観的にすることが大事」と解決法を示した。