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 日経ビジネス主催の「日経ビジネスLIVE」のWebセミナー(ウェビナー)シリーズ「ニューノーマル時代の成長戦略~新たな長期的価値の創造~」(Platinum Partner:EY Japan、Gold Partner:ServiceNow Japan)のDay3が7月15日に開催された。第1セッションのテーマは「アフターコロナ時代のESG経営」。早くからESG(環境・社会・企業統治)を重視した経営を志向してきた花王の澤田道隆社長と味の素の西井孝明社長が登壇し、その重要性や新型コロナウイルスの感染拡大でどう変わっていくかなどを議論した。(今後開催のセッションはこちら

 花王と味の素は、ともにESG経営を打ち出している。花王は2019年9月、「ESG経営に向けて大きく舵(かじ)を切る」と宣言。澤田氏はセッションの冒頭、「企業理念そのものがESGという気持ちで取り組んでいる」とし、コストではなく投資として捉えていることなどを説明した。今年2月に発表した中期経営計画で、ESG重視の姿勢を改めて示した味の素の西井氏は「企業の社会価値という観点での目的や存在意義についてのビジョンを今年初めて掲げた」と説明した。

 ESGは環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字。両氏は新型コロナの感染拡大による影響について議論した。澤田氏は「Sの部分が重要になったのは言うまでもないが、感染症が広がることでEの部分にマイナスをもたらしている」とも指摘。例としてプラスチックも材料として使う不織布マスクの流通が増えたことや、手洗いの励行で水の使用量が伸びていることなどを挙げ、「ESGを様々な角度から見ていくことが大事」と述べた。

ESGは「様々な角度から見ていくことが大事」と語った花王の澤田道隆社長

 一方で西井氏は、「健康や栄養に対する数億人の意識が変わり、デジタルイノベーションが隅々まで行き渡る」と指摘。「食品やヘルスケアを扱う企業にとって大きな機会の変化が起きている」と自社の事業に与えうる影響について話した。コロナ下での経営では、「社会に対する責任として、改めて健康経営の重要性を思い知らされた」という。

 西井氏は「米国では大量の罹患(りかん)者が出て工場を数カ月止めざるを得なくなった企業と、継続的に工場を運営できている企業がある」という例を挙げ、「従業員を大切にしてきたか」という企業カルチャーの違いも関係している可能性を示した。「従業員(への対応)は企業にとって最初の責任。足元を見つめなおして健康経営をしていかないといけない」と語った。

「従業員は企業にとって最初の責任」と味の素の西井孝明社長

 議論がESG経営と利益とのバランスに及ぶと、澤田氏は「サステナビリティーを進めると、コストがかかりリターンは少ないといわれるが、全くそうではない」と断言した。「短期的に見てもESGへの注力に対するリターンを取れるやり方はある」(澤田氏)と強調。「開発段階から環境や社会の観点を入れていれば、実際に製品になったときに、それらの観点を入れていない製品との差を、消費者が確実に理解できるものになっている。そうすれば、様々な商品の中からこの商品を買いたいと思ってもらえるようには必ずできる」とした。長期的には「企業価値向上にESGを結び付け、『こういう会社の製品なら買ってみたい』と言われるくらいにしていく」と主張した。

 西井氏は企業価値について、「できる限り可視化すれば投資家も従業員も納得する」と指摘。味の素では、「従業員の働きがい、ブランドの価値、時価総額が順々に価値を生み出していくサイクルを企業価値と定義した」という。食品やメニューがどのくらい健康に貢献するかを測る指標を開発する取り組みについても紹介。こうした取り組みが広がれば「ESG投資という観点で見てもらえるのではないか」とした。

 最後に企業統治についての重要性について、西井氏は「ESG経営ができるような企業統治になっているかが最大のポイント」と述べ、「ESGの根幹をなすものが企業統治」だと説明した。澤田氏も「環境や社会に対する責任を自分たちが果たせているのかどうかを社外からもきちっと検証してもらうことが重要」と応じた。

 この日のセッションは、事前登録した視聴者を対象にライブ配信された。

「日経ビジネスLIVE」とは:「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト

 日本を代表する大手企業トップ、著名有識者がライブで本音を語り、視聴者の質問にも答えるイベント「日経ビジネスLIVE」。7月2日から合計7回(予定)にわたり、オンラインで開催する(参加費無料)。テーマは、「ニューノーマル時代の成長戦略~新たな長期的価値の創造」(主催:日経ビジネス、Platinum Partner:EY Japan、Gold Partner:ServiceNow Japan)。ぜひ、ご参加ください。

 Day5となる7月30日(木)のテーマは「激変する消費」。最初のセッションでは「消費の『ニューノーマル』をどう捉えるか」と題して、ホームセンター首位、カインズの高家正行社長に日経ビジネス副編集長の小平和良が話を聞く。

 次のセッション「動き始めた新しい消費(Partner Session)」には、キャンプなどアウトドア用品を展開するスノーピークの山井太会長、リサイクル事業を手掛ける日本環境設計の岩元美智彦会長、国内工場直結のファッションブランド「ファクトリエ」の山田敏夫代表、EY Japan ストラテジー・アンド・トランザクションの小林暢子パートナーが登壇する。

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■開催概要
日経ビジネスLIVE
「ニューノーマル時代の成長戦略~新たな長期的価値の創造~」

日時:2020年7月2日(木)~8月中 全7回開催(予定)
会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
主催:日経ビジネス
Platinum Partner:EY Japan
Gold Partner:ServiceNow Japan
受講料:無料 ※事前登録制(先着順)

■プログラム Day5=7月30日(木) 「激変する消費」

14:00-14:40 消費の「ニューノーマル」をどう捉えるか
高家 正行氏 カインズ 代表取締役社長

14:45-15:45 動き始めた新しい消費(Partner Session)
山井太氏 スノーピーク 代表取締役会長
岩元美智彦氏 日本環境設計 取締役会長
山田敏夫氏 ファクトリエ 代表
小林暢子氏 EY Japan ストラテジー・アンド・トランザクション パートナー

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