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 日経ビジネスは、「日経ビジネスLIVE」のWebセミナー(ウェビナー)シリーズ「ニューノーマル時代の成長戦略~新たな長期的価値の創造~」(Platinum Partner:EY Japan、Gold Partner:ServiceNow Japan)の2日目を7月9日に開催した。この日の第3セッションでは「経済回復はいつになるのか? 米中・新冷戦の影響を読む」をテーマに、野村総合研究所のエグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏、みずほ総合研究所欧米調査部長の安井明彦氏、東京財団政策研究所主席研究員の柯隆氏が登壇。今後の世界経済の見通しと、米中関係の行方を議論した。(今後開催ののセッションはこちら

 新型コロナウイルスによって世界経済は深刻なダメージを受けた。各国の経済回復には時間を要しそうだ。みずほ総研の安井氏は世界経済をリードする米国について「中長期的な後遺症が懸念される段階に来た」と指摘。理由として設備投資の萎縮や教育の遅れ、格差問題などを挙げた。そのうえ、「トランプ大統領が11月の大統領選に向け国内の分断をあおっている」という。

議論では世界経済、米中対立の行方について厳しい見方が相次いだ(左上がみずほ総合研究所欧米調査部長の安井明彦氏、右上が野村総合研究所のエグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏、左下が東京財団政策研究所主席研究員の柯隆氏。右下はモデレーターの日経ビジネス編集委員・田村賢司)

 東京財団政策研究所の柯氏は中国について、「経済再建でも外交でも迷走している」とみる。中国が5月の全国人民代表大会(全人代)で2020年のGDP成長率目標を公表しなかったことや、この時期に香港問題やインドとの国境問題で世界各国を刺激していることを挙げ、「世界の人々がチャイナリスクを認識させられる状況になっている」と述べた。中国はリーマン・ショック後に4兆元規模の景気対策を打ち出し、世界経済をけん引したが、柯氏によると「中国の公債のGDP比は300%を超えており、すでに余力がない」として、リーマン後のような対策について「今回は無理」と指摘した。

日本経済「回復まで5年ぐらい」

 日本については、「回復まで5年ぐらいかかる」と野村総研の木内氏は指摘。「需給の悪化によって向こう3年は物価の下落の局面に入る」と予測した。

 木内氏は「米中の対立は新型コロナで強まった」とも述べ、香港問題で注目すべきポイントに金融覇権を挙げた。柯氏も「米国の制裁によって(米ドルとのペッグ制を採用している)香港ドルのドルペッグが外れることを中国は心配している」と説明。加えて柯氏は「中国共産党中央の高官の『人民元の国際化とデジタル人民元の発行を急ぐべきだ』という発言がリークされた」と指摘し、「国際社会を巻き込んで実体経済とバーチャル金融が大きく動く可能性がある」と述べた。

 安井氏は香港問題への米国の対応について、「経済だけではなく、民主主義や人権、安全保障の問題も絡んでいる以上、大統領選でどちらの党が勝とうとも、それなりに踏み込むリスクがある」と懸念を示した。

 米中対立が続くなかで、日本はどのような対応をすべきか。木内氏は「米中がお互いに消耗していくのは日本経済にとって悪影響」と前置きしたうえで、「米中がともに自由貿易圏にとどまるメリットを粘り強く説明していくことが重要」と発言。「中国が新しい独自の経済圏をつくれば、日本は大きな市場を失うことになる」とした。

 この日のセッションは、事前登録した視聴者を対象にライブ配信された。

「日経ビジネスLIVE」とは:
「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト

 日経ビジネスLIVE「ニューノーマル時代の成長戦略 ~新たな長期的価値の創造~」のDay4を7月22日(水)、Day5を7月30日(木)に開催します。

 Day4のテーマは「新時代の人材・組織」。第1セッションでは、ソフトバンク専務執行役員兼CHRO(チーフヒューマンリソーシズオフィサー)の青野史寛氏とカゴメ常務執行役員CHO(最高人事責任者)の有沢正人氏が「人材を生かす新時代の雇用とは」について議論。第2セッションでは、ノバルティス ファーマ人事統括部人材組織ヘッドの佐々木玲子氏、日本マイクロソフト執行役員人事本部長の杉田勝好氏、EY Japanピープル・アドバイザリー・サービス リーダーの鵜澤慎一郎氏が「ニューノーマルにおける人材開発・組織マネジメント」(Partner Session)をテーマに、第3セッションでは、日本労働組合総連合会(連合)会長の神津里季生氏、東京大学大学院経済学研究科教授の柳川範之氏、三菱総合研究所 政策・経済研究センター長の武田洋子氏が「『日本型雇用』はもう限界? コロナ後の課題とは」をテーマに議論します(第3セッションは事前に収録した映像となります)。

 Day5のテーマは「激変する消費」。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、企業活動や個人の生活は大きく変わりました。外出自粛要請を受け、都心部のコンビニでは需要が減少する一方、スーパーやECの売り上げが伸び、ホームセンターが消費の場として顧客の注目を集めています。第1セッションでは、そのホームセンターの売上高首位(2019年度)のカインズ社長、高家正行氏が登壇。「消費の『ニューノーマル』をどう捉えるか」について議論します。第2セッションでは、「動き始めた新しい消費」(Partner Session)をテーマに、スノーピーク会長の山井太氏、日本環境設計会長の岩元美智彦氏、ファクトリエ代表の山田敏夫氏、EY Japan ストラテジー・アンド・トランザクション パートナーの小林暢子氏が登壇します。ぜひ、ご参加ください。

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■開催概要
日経ビジネスLIVE
「ニューノーマル時代の成長戦略~新たな長期的価値の創造~」

日時:2020年7月2日(木)~、全7回開催(予定)
会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
主催:日経ビジネス
Platinum Partner:EY Japan
Gold Partner:ServiceNow Japan
受講料:無料 ※事前登録制(先着順)

■プログラム Day4=7月22日(水) 「新時代の人材・組織」

14:00-14:50 人材を生かす新時代の雇用とは
青野史寛氏 ソフトバンク 専務執行役員兼CHRO(チーフヒューマンリソーシズオフィサー)
有沢正人氏 カゴメ 常務執行役員CHO(最高人事責任者)

15:00-15:50 ニューノーマルにおける人材開発・組織マネジメント(Partner Session)
佐々木玲子氏 ノバルティス ファーマ 人事統括部 人材組織 ヘッド
杉田勝好氏 日本マイクロソフト 執行役員 人事本部長
鵜澤慎一郎氏 EY Japan ピープル・アドバイザリー・サービス リーダー

16:00-16:50 「日本型雇用」はもう限界? コロナ後の課題とは(Partner Session)
※本セッションは事前に収録した映像となります
神津里季生氏 日本労働組合総連合会(連合)会長
柳川範之氏 東京大学大学院経済学研究科教授
武田洋子氏 三菱総合研究所 政策・経済研究センター長

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■プログラム Day5=7月30日(木) 「激変する消費」

14:00-14:40 消費の「ニューノーマル」をどう捉えるか
高家正行氏 カインズ 代表取締役社長

14:45-15:45 動き始めた新しい消費(Partner Session)
山井太氏 スノーピーク 代表取締役会長
岩元美智彦氏 日本環境設計 取締役会長
山田敏夫氏 ファクトリエ 代表
小林暢子氏 EY Japan ストラテジー・アンド・トランザクション パートナー

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