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 日経ビジネスは「日経ビジネスLIVE」のWebセミナー(ウェビナー)シリーズ、「ニューノーマル時代の成長戦略~新たな長期的価値の創造~」(Platinum Partner:EY Japan、Gold Partner:ServiceNow Japan)を7月9日に開催した。同日の第2セッションでは立命館アジア太平洋大学(APU)学長の出口治明氏と組織開発コンサルティングなどを手掛けるスタートアップ、エール(東京・品川)取締役の篠田真貴子氏が登壇し、「ニューノーマルで考える日本の『レガシー』」をテーマに議論した。

 新型コロナウイルスの感染拡大への警戒で、日本を含む多くの国で在宅勤務が一斉に広がった。出口氏はまず「日本社会のITリテラシーが上がり、生き方を変えるきっかけになった」と振り返った。仕事の面ではテレワークによって「上司も部下も能力や成果がみんなに見えるようになり、年功序列の考え方から成果主義の方向に流れる」と指摘した。

新型コロナの感染拡大が「生き方を変えるきっかけになった」とする立命館アジア太平洋大学学長の出口治明氏(左)と、企業における「人材の多様化を後押しする」と予想するエール取締役の篠田真貴子氏

 一方、働く人の生活面でも、オフィスでの仕事の後、付き合いで上司と酒を飲みに行くといった長年の慣習が減り、「家族とご飯を食べた方が楽しいと分かった人がたくさんいる」(出口氏)と変化が起きているとした。篠田氏も「新型コロナを経て生活を重視する人が増え、コロナ以前から言われていた働き方改革に本質的な変化をもたらす」との見方を示した。

 出口氏は「テレワークは嫌だとか、みんなを集めて号令したい、という形のマネジメントが淘汰されていくのはいいこと」とも強調。変えるべき点として「転勤ありきの総合職が一番上という日本企業の考え方」を挙げた。総合職として転勤を会社に命じられ、単身赴任などで対応している現状について、「社員と地域の結びつきや、社員の家族の人生や生活を一切考慮しておらず、個人を無視した働き方だ。テレワークがこんな簡単なら転勤しなくてすむ」(出口氏)と述べた。

「黙っているだけの年長者の存在感は低下する」

 篠田氏は外資系企業やほぼ日(旧・東京糸井重里事務所)など、テレワークに比較的理解のある職場で働いた経験を持つ。とはいえ、これまでは先進的な企業でも例外扱いとなることも多く、コロナ禍では「世界中がやるというのが大きな変化だった」と振り返った。

 篠田氏は、「新型コロナによって企業が人材の多様化を後押しする要素が出てきた」と指摘した。テレワークによってオフィスで働かなくなった人が増えていることのほか、オンライン会議の増加もその理由に挙げた。「オフィスは役職の高い人が影響力を持てるような設計になっていたが、オンライン会議などで目立つのは発言する人。黙っているだけの年長者の存在感は低下する」(篠田氏)。さらに篠田氏は「家族と過ごしたい人が増え、家事や育児の負担が女性ばかりにいくことが是正される」と期待する。

 最後に、出口氏は「パンデミックは必ず終わる」と述べ、今回起こった働き方や生き方の変化を、いかに良い方向につなげるためにどう行動するかが大事だと語った。篠田氏も「会議や仕事のやり方は方法であって、これを通して成し遂げたい目標は変わっていない」と前置きした上で、「方法を大きく刷新してこの危機を乗り越えていく頭の切り替えができると、前向きにこの状況を利用できる」と述べ、このセッションを締めくくった。

 この日のセッションは、事前登録した視聴者を対象にライブ配信された。

 日経ビジネスLIVE「ニューノーマル時代の成長戦略 ~新たな長期的価値の創造~」のDay3を7月15日(水)に開催します。第1セッションでは、花王社長の澤田道隆氏と味の素社長の西井孝明氏が「アフターコロナ時代のESG経営」をテーマに議論。第2セッションでは、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)特別顧問の末吉竹二郎氏、クレディ・スイス銀行プライベート・バンキング日本代表の平尾恒明氏、EY Japan CCaSS(Climate Change and Sustainability Services) Leaderの牛島慶一氏が、「サステナブルな社会を創るための企業の役割」(Partner Session)について議論します。ぜひ、ご参加ください。

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■開催概要
日経ビジネスLIVE
「ニューノーマル時代の成長戦略~新たな長期的価値の創造~」

日時:2020年7月2日(木)~、全7回開催(予定)
会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
主催:日経ビジネス
Platinum Partner:EY Japan
Gold Partner:ServiceNow Japan
受講料:無料 ※事前登録制(先着順)

■プログラム Day3=7月15日(水) 「企業と社会の調和」

13:30-14:20 アフターコロナ時代のESG経営
澤田道隆氏 花王 代表取締役 社長執行役員
西井孝明氏 味の素 取締役社長 最高経営責任者

14:30-15:20 サステナブルな社会を創るための企業の役割(Partner Session)
末吉竹二郎氏 国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI) 特別顧問
平尾恒明氏 クレディ・スイス銀行プライベート・バンキング 日本代表
牛島慶一氏 EY Japan CCaSS(Climate Change and Sustainability Services) Leader

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