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 日経ビジネスが主催する「日経ビジネスLIVE」のWebセミナー(ウェビナー)シリーズ「ニューノーマル時代の成長戦略 ~新たな長期的価値の創造~」(Platinum Partner:EY Japan、Gold Partner:ServiceNow Japan)が7月2日、始まった。最初のセッション「始まった『ニューノーマル』 変わらなければ未来はない」に登壇した三菱商事の垣内威彦社長は、「デジタルトランスフォーメーション(DX)や企業同士の連携によって生産性向上を図ることが重要」「与えられた業務を現状維持で続けているだけではダメ。構想力が欠かせない」などと述べ、新型コロナウイルス後の世界で、日本企業が進むべき方向性を語った。

 垣内氏はまず、「新型コロナウイルスの発生で、物も人も移動できない中、各国がどんな対応をするかが表に出た」と指摘。感染拡大を受けて中国がデジタル技術を使って国民の動きを把握し、対応に動いたことについて「政府の手法とデジタル化の進行を目の当たりにした」と振り返った。

DXが今後のカギとなると話す三菱商事の垣内威彦社長

 コロナ禍への対応や、香港国家安全維持法成立などの動きから、「中国は共産党主導による国家資本主義を崩さないという意志が明確になっている」と述べたうえで、「日本企業は造船や鉄鋼、半導体などいくつかの産業で技術革新をしてきたが、量産化して世界に展開する最終段階になると米国や中国の企業に負けてしまっていた」と指摘。その理由としてGAFAのような世界企業や中国の国家資本主義下での企業と、日本企業との資本力の差を挙げた。「本当に公平なフィールドで競争できているのかを改めて問い直すと、政治の判断と経済の動きは今まで以上にリンクして考えていく必要がある」と強調した。

 「コロナでの中国の姿を見て、日本でもDXに関する挑戦をしていかないと勝負にならないと納得、理解したのではないか」。垣内氏はこう述べ、日本と米中企業の差を埋めるためのカギとしてDXを挙げた。「DXを進めると、もっと人がやるべき仕事へ労働力を再配分することになる」としたうえで、「そうすることで圧倒的な効率を求めていかないとならない」と強調した。DXによって現状を維持するのではなく、新たな価値を生み出すことが重要という。

 サプライチェーンにおける企業間の連携も重要との見方を示した。垣内氏は、企業は、企業間で競争すべき分野と、そうでない分野を整理すべきだとする。例えば流通においてはできるだけ大きな倉庫で商品を管理した方が効率を上げられる。さらに、できるだけ多くの量で配送した方が物流コストは下がる。垣内氏は企業間で協力すればコストが下げられる部分は協力していく必要性があると強調した。「競争分野を整理することで、日本企業も国家資本主義で動く中国企業に対抗できる」(垣内氏)

 「そこをどうオーガナイズしていくかが商社の新しいビジネス」とも話し、商社が企業同士の様々な提携関係を構築し、業界全体の生産性を高めていく考えを示した。「チャンスはどの企業にもある。まずはグループ内で連携し、うまくいけば他の企業にも参加してもらいたい」と呼びかけた。

 この日のセッションは、事前登録した視聴者を対象にライブ配信された。

■変更履歴
本文中「『DXとは、機械にもできる、人がやるべきでない仕事は機械に置き換え、もっと人がやるべき仕事へ労働力を再分配すること』と定義したうえで」を「『DXを進めると、もっと人がやるべき仕事へ労働力を再配分することになる』としたうえで」に、「どうアライアンスしていくか」を「どうオーガナイズしていくか」に改めます。[2020/7/21 18:30]
「日経ビジネスLIVE」とは:「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト

 日経ビジネスLIVE「ニューノーマル時代の成長戦略 ~新たな長期的価値の創造~」のDay2を7月9日(木)に開催します。第1セッションでは、もの作りの根幹を支える工作機械大手・DMG森精機の森雅彦社長と気鋭の経営学者である早稲田大学大学院の入山章栄教授が、「もの作りが変わる~コロナが加速する経営のデジタル化」をテーマに議論。次のセッションでは、オンライン生命保険のライフネット生命を創業し、現在は立命館アジア太平洋大学(APU)の学長を務める出口治明氏と、外資系企業やほぼ日(旧・東京糸井重里事務所)などを経て現在はスタートアップ、エール(東京・品川)の取締役に就いている篠田真貴子氏が登壇。働き方など日本のレガシーをどう変えていくかを議論します。

 3つ目のセッションでは、著名なエコノミストと米中の政治・経済専門家が登壇。日本銀行の審議委員を務めた野村総合研究所のエグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏、米国経済に詳しいみずほ総合研究所欧米調査部長の安井明彦氏、中国経済に詳しい東京財団政策研究所主席研究員の柯隆(か・りゅう)氏が、世界経済の回復時期や米中対立の行方について読み解きます。ぜひ、ご参加ください。

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■開催概要
日経ビジネスLIVE
「ニューノーマル時代の成長戦略~新たな長期的価値の創造~」

開催期間:2020年7月2日(木)~8月中 全7回開催(予定)
会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
主催:日経ビジネス
Platinum Partner:EY Japan、Gold Partner:ServiceNow Japan
受講料:無料 ※事前登録制(先着順)

■プログラム Day2=7月9日(木) 「革新とレガシー」

15:35-15:40 オープニング

15:40-16:30 もの作りが変わる~コロナが加速する経営のデジタル化
森雅彦氏 DMG森精機 代表取締役社長
入山章栄氏 早稲田大学大学院経営管理研究科 教授

16:40-17:30 ニューノーマルで考える日本の「レガシー」
出口治明氏 立命館アジア太平洋大学(APU) 学長
篠田真貴子氏 エール取締役

17:40-18:30 経済回復はいつになるのか? 米中・新冷戦の影響を読む
木内登英氏 野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト
安井明彦氏 みずほ総合研究所 欧米調査部長
柯隆氏 東京財団政策研究所 主席研究員

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