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 読者の皆さんとコロナ後のキャリアや組織を考えていくシリーズ「世界の事例で考えるコロナ後のキャリアと組織」。前回の記事「[議論]コロナで『会社愛』が希薄化、あなたの職場は大丈夫?」では、リモートワークが浸透する中で、組織に対してどれだけ貢献したいかといった愛着度を示す「エンゲージメント」をどう維持するかについて、皆さんからのご意見を募集した。

 今回は皆さんから頂いたコメントを踏まえ、「会社愛」をいかに保つかを解説していく。講師は前回に引き続き、組織・人事に関する大手コンサルティングファーム、コーン・フェリー・ジャパンの岡部雅仁クライアントダイレクターだ。

(写真:PIXTA)

北西厚一(日経ビジネス編集)前回は岡部さんから、業績アップや社員離職率の低下防止でカギを握るのは「社員エンゲージメント」の高さであり、危機における企業の対応がエンゲージメントに大きく影響するといったご指摘をいただきました。リモートワークが広がってオフィスに集まる機会が減り「仕事」のあり方の前提が変わりました。企業と社員の関係をどう形づくっていくのか。古くて新しいテーマが、再び頭をもたげています。

 個の能力を生かしながら、全体の水準を高めていく――。会社も社員も、求める方向性には違いはないはずです。ただ、会社からの物理的な距離が離れ、生活の場所が家庭やプライベートに近くなると、ついつい自分都合で動いてしまう、というのも実情でしょう。会社が個人の生涯の面倒をみるといった昭和的な発想も、もはや通用しません。

 では、会社と社員は今後、どのような関係を構築していけばいいのか。皆さんの意見を踏まえ、岡部さんに解説していただきます。

岡部雅仁(おかべ・まさひと)氏
コーン・フェリー・ジャパン、クライアントダイレクター
プライスウォーターハウスクーパーズにてITコンサルティング業務を経験後、リクルートで海外人材事業を立ち上げ、現地事業経営に従事。2009~16年までアジアの現地法人社長(上海2年、北京1年半、シンガポール4年)として現地駐在。コーン・フェリーでは大手日本企業に対し、グローバルでの組織エンゲージメント向上、報酬・等級制度設計、タレントアセスメントなどを提供。日本企業のグローバル化や組織力向上に対する豊富なプロジェクト実績を持つ。

岡部雅仁(コーン・フェリー・ジャパン、クライアントダイレクター):貴重なご意見を頂き、ありがとうございました。まさに今、各社で思い思いの取り組みが進められており、企業と社員の新たな関係性を求めて模索している様子がうかがえます。

 「社員の幸せや会社の利益につながらない、惰性や怠惰でなされ、つけを弱い立場の者に回すといった『ダサい意思決定』を減らすこと」(Peroさん)、「責任と権限、報酬が合っていないと心は離れていく」(Montjeuさん)、「弱い立場の被雇用者を守る方策を追求した方がいい」(SHInさん)。「危機の時こそ、社員は見てるぞ」という警告ですね。その上で「面白い仕事、やりがいのある仕事を与える」(宮本英典)というミッションをいかに果たすか、会社は試されています。

 梅里さんからは、経営者目線でのご意見をいただきました。「リモート環境になって働き方に関する個人の欲求が顕在化した」「現場感覚が薄れて全体感がイメージできなくなり、担当者が個別最適で進める傾向が出始めている」。これまでの組織では立ち行かないことを示唆するリアルな感覚だと思います。ご意見に賛同される読者も多いのではないでしょうか。

 今回の解説編では、コロナ禍でリモート環境が先行した世界の事例を基にコーン・フェリーが体系化した、アフターコロナ環境において社員エンゲージメントを高める有効な4つの観点をご紹介したいと思います。