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 読者の皆さんとコロナ後のキャリアや組織を考えていくシリーズ「世界の事例で考えるコロナ後のキャリアと組織」。前回の記事「[議論]報・連・相が壁? 日本企業へのジョブ型導入はなぜ難しい」では、日本企業に多いメンバーシップ型とジョブ型を比較しつつ、なぜ日本でジョブ型を導入するのが難しいかについて皆さんからのご意見を募集しました。今回は皆さんからいただいたコメントを踏まえ、ジョブ型の取り入れ方や心構えを解説していきます。講師は前回に引き続き、組織・人事に関する大手コンサルティングファーム、コーン・フェリー・ジャパンの柴田彰コンサルティング部門責任者です。

(写真:PIXTA)

北西厚一(日経ビジネス編集)前回は柴田さんから、日本企業で一般的なメンバーシップ型(職能型)雇用とジョブ型(職務型)の特徴を比較した上で、日本の働き方がジョブ型になじまない背景を示していただきました。メンバーシップ型は「人ありき」で育成がベース、ジョブ型は「仕事ありき」で成果がベース。上司・部下のコミュニケーションの取り方にも大きな差があることも分かりました。

 以前であれば、両者のいいところを取るという発想でよかったかもしれません。しかし、コロナ禍で容易に集まることができなくなり、リモートワークが広がっています。連携が取りにくいリモート環境と相性がいいのはジョブ型。日本企業には今、半ば強制的な形で「ジョブ型圧力」がかかっていると言っていいのかもしれません。

 では、どんな心構えをして取り入れるべきなのか。日本型雇用のどの部分を残すべきなのか。皆さんの意見を踏まえ、柴田さんに解説していただきます。

柴田彰(しばた・あきら)氏
コーン・フェリー・ジャパン、コンサルティング部門責任者
慶応義塾大学文学部卒、PwCコンサルティング(現IBM)、フライシュマンヒラードを経て現職。各業界において日本を代表する大企業を主なクライアントとし、組織・人事領域の幅広いプロジェクトを統括。 近年は特に、社員エンゲージメント、経営者のサクセッション、人材マネジメントのグローバル化に関するコンサルティング実績が豊富。著書に『エンゲージメント経営』『人材トランスフォーメーション』、共著に『VUCA 変化の時代を生き抜く7つの条件』など。

柴田彰(コーン・フェリー・ジャパン、コンサルティング部門責任者):多くのコメント、ありがとうございます。ジョブ型雇用がうまくいかない理由や導入後の状況、うまく回していくための工夫、そもそもジョブ型が必要なのかという疑問など、多岐にわたるご意見をいただきました。

 なぜ、ジョブ型は日本でうまくいかないのか。mgnさんからは「(仕事に対する)評価の基準が曖昧で上司の覚えが良い人が得をする。(日本企業の雇用の仕組みは)日本文化そのもの」との指摘がありました。「誰が、何を、どのような順序ですれば答えが出るかを定義する管理職のスキルがない」(quartiertokioさん)というのも、まさに正論だと思います。

 「適材適所」――。日本におけるジョブ型の難しさは、やはりここにあると私は考えます。それぞれのポストに求められる資質や能力を満たす人材を配置できなければ、ジョブ型雇用の根本は崩れてしまいます。ただ、実現するためには乗り越えなければならないハードルがあります。マネジメントが、人材の適性と力量を正しく見抜くことです。

 少し歴史を振り返ってみましょう。