政府の観光業へのコロナ禍対策で望むことは。
星野氏: Go Toトラベルの期間を延長してウィズコロナの旅行産業を支えていただけるならばありがたい。その場合、経済対策の効果をしっかり認識できるようにするには、土日よりも平日の対策を厚めにしたほうがいい。土日の割引率を平日よりも抑えるなど微調整し、需要が足りないところに刺激を与える。観光地が密にならないようにしながら、需要をプラスする。このほうがウィズコロナの経済対策としては、より効果的になる。
もう1つの要望としては、国と地方の関係だ。国のGo Toトラベルには宿泊割引と地域共通クーポンがあり、それと似た立て付けのものが各自治体からバラバラに出ている。需要を喚起するためだからといって、地方と国が同時に行うのは、経済対策として税金の使い方にムダがあると思う。私の感覚ではGo Toトラベルが続いている間は、地方のキャンペーンをセーブすべきだ。Go Toトラベルはどこかで必ず切れるから、切れたときに地域が力を発揮してくれるとありがたい。例えば1月にGo Toトラベルがなくなったら、2〜4月は自治体のサポートで少し段階的にGo Toトラベルからの脱却を図る。そういうお金のかけ方を実行をすべきだと思う。
割引しすぎは消費者にとってはいいし、観光事業者にとっては盛り上がるのでいいが、税金を使った経済対策として適切な割引率なのか考えたほうがいいと思う。割引しすぎで1月で切れるくらいならば、割引率を抑えて同じ予算で1年丸々やったほうがいい。割引率が低くてもいいから、長くやるほうが観光産業側は安心できるし、助かると思う。
新ブランド「嘉助」を立ち上げる理由
守りだけでなく、2021年春の中国大陸進出を発表。浙江省の天台山に「嘉助天台」を開業します。新ブランドの「嘉助」で進出するのはなぜでしょうか。
星野氏:中国の場合、星野リゾートが企画に参加できるのはプロジェクトの最後のステージであることが多い。例えば建物が7割方完成しており、これまでの星のや、界、OMOなどのスペックが当てはまらないケースがある。そういう案件が多いが、すべて断るのは運営会社としてもったいない。星野リゾートのサブブランドに合わない施設でも、中国で運営を受託できる体制をつくる。このため嘉助は中国限定のブランドになる。
統一感があるとすると、1つは観光の施設であること。同時に星野リゾートのスタッフがいて笑顔のおもてなしがあり、清潔感のある部屋があり、おいしい食事があるなど、サービス面での質の統一を保証できるホテルにしていこうと考えている。いずれも基本だが、ここにこだわっていくことが中国大陸のホテルでは大切なことだと思う。中国事業は増えていく可能性があり話は多いが、まずこの点をきちんとできることを今回の案件で確認したい。
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