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運営施設数の増加に向けて手を打つ

 サービス面ではもちろん3密を回避するために何をすべきかを早くから考え、どんどん取り組んできた。顧客満足度調査には新たにコロナ対策の項目を付け加えており、取り組みは評価を得ている。緊急事態宣言が解除され、いよいよ観光も解禁になろうとしているため、6月中には2万人のサンプルを集める市場調査を実施。対策が網羅できていないところがあるかどうかなどを確認したい。

このほどリサ・パートナーズ(東京・港)と国内の宿泊施設を支援する「ホテル旅館ファンド(仮称)」の組成を計画し、ファンドの運営会社、H&Rアセットソリューションズ(東京・港)を設立しました。どんな展開を考えていますか。

星野:宿泊施設の取得・保有を通じて、新型コロナウイルスによる需要喪失に直面するホテル・旅館の事業者に対して、事業の承継や事業譲渡支援などを行う。星野リゾートは、必要に応じて宿泊施設の運営など担う。同ファンドは総額100億円規模を予定し、2020年夏の組成を目指している。

 星野リゾートは宿泊施設の運営に特化している会社であり、成長するには運営先をしっかりと広げていくことをいつも考えなければならない。バブル崩壊やリーマン・ショックのときもそうだったが、今回も厳しい経営環境に対し、旅館やホテルの経営者や投資家は施設の運営を任せたいというよりも、施設を売却したいという人が増えている。

 これに積極的に取り組むのが狙いだ。新型コロナウイルスの感染拡大していた中でもいろいろな問い合わせがあったが、十分な体制がないために対応できなかった。運営会社として新たな施設の運営に入る形を整えることが大切だと考え、設立に踏み切った。投資したい人は国内外にいて、資金は順調に集まりそうだ。

 投資する施設の目標件数などは定めていないが、星野リゾートが運営することを想定している。施設の規模や立地は限定していないため、多様な旅館やホテルが入ってくる可能性がある。星野リゾートは投資会社でないから、あくまでも宿泊施設の運営会社として取り組む。

 厳しい局面ではあるが、運営する施設数が伸びなければ、星野リゾートは成長できない。運営施設数の増加に向けてチャンスを広げるために手を打つ。新型コロナウイルスの終息までに時間がかかるとしても、その間も施設数を着実に増やしていく。

政府が進めている観光需要喚起策「Go Toキャンペーン」についてはどうとらえていますか。

星野:観光産業の雇用政策は雇用調整助成金による手厚いサポートで非常にうまくいっていると思う。これに対して、Go Toキャンペーンは、緩和期において経済との両立を図る政策であり、ありがたい。ただ、GO Toキャンペーンで観光業にとって大切なのは、売り上げではなくて利益だ。

 インバウンドは日本の観光の約17%にとどまるが、数字よりも大きな役割を果たしてきた面がある。それは需要の分散だ。需要が特定の時期に集中しなければ宿泊業は生産性を上げやすくなるし、雇用の維持や収益にとってもプラスになる。例えばインバウンドの多い旧正月は日本の正月と時期がずれているため、需要の分散に貢献していた。インバウンド需要がない今、GO Toキャンペーンを行うならば、約23兆円の国内の旅行需要が分散するような策を望んでいる。例えば平日のサポートを土日より厚くすること、長い期間使えるようにすることなどをぜひ考えてほしい。国内需要に密をつくってはいけない。