政府の緊急事態宣言が出され、観光をめぐる状況はさらに厳しさを増している。星野佳路代表に、戦略の見直しを進める現状と対応策を聞いた。「新ノーマル」への対応がポイントになる。

政府の緊急事態宣言が出され、観光をめぐる状況はさらに厳しさを増しています。
星野佳路氏(以下、星野):3月はそれほど業績が悪くなかったが、4月に入って緊急事態宣言が出された後に急にムードが変わった。それまで80%ほどだった各施設の客室稼働率は緊急事態宣言の後には20%台になった。広報やプロモーションを控えているし、大市場である東京、大阪が対象地域に入った以上仕方がない。感染者数を減少させることがとにかく大切であり、緊急事態宣言は正しいと思う。この期間、業績が落ちることは耐え抜かなければいけない。
需要に合わせて一時帰休も行っている。特定の社員が働く時間を減らすのでなく、全社員約3500人が何らかの形でワークシェアリングする形だ。施設によって違いはあるが、もともとマルチタスクのためシェアリングしやすい。政府の雇用調整助成金も活用しながら取り組んでいく。
東京は先行して緊急事態宣言の対象になったため、東京にある2カ所の施設を現在休館している。東京にはオフィスもあるがテレワークを導入しており、出社する社員を9割削減している。
本来ならば観光需要の大きいゴールデンウイーク中も緊急事態宣言が続きます。
星野:ゴールデンウイークの需要は緊急事態宣言で劇的に減少した。現在は一番強い自粛期であり、5月全体が前年比で大きくマイナスするだろう。それでも緊急事態宣言によって感染者数を一気に下げ、早く安心できる状態なれば中長期的にプラスに働く。
緊急事態宣言が5月6日で終わるかどうか。そしてその場合に自粛が緩和するかするどうか。感染者数が減少し緩和に向かうならば、そこで観光業界として何ができるかを考えておかなければならない。
一方、状況によっては当面、需要が期待できない、採算が合わない、などが見込まれる地方の施設が出てくるかもしれない。そうなれば、施設によっては夏休みまで閉める、などの可能性はある。
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