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※2/28のRaise LIVEは、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が拡大している状況を受け、参加される皆様の健康・安全面を第一に考慮した結果、誠に勝手ながら、会場でのトークイベントを開催せずに中止とし、公開取材のライブ中継のみ配信とすることにしました。ご理解を賜れれば幸いです。

[2月28日午後7時開始のライブ配信は以下のリンクからご覧ください]

2/28 居酒屋以上旅未満 マーケの法則とBEB

 2月21日開催のこのシリーズのイベント3回目「経営と繋がるサービス 界 日光、真実の瞬間」は、スタッフの短い時間の対応力などをテーマにしたヤン・カールソン氏の著書「真実の瞬間」を「界 日光」の取り組みを通じて検証した。界 日光のスタッフは、実際に直面してきたさまざまな場面を詳しく紹介。初公開のエピソードが多く、「真実の瞬間」の在り方について、実際のケースから考える貴重な機会となった。

イベント「経営と繋がるサービス 界 日光、真実の瞬間」の様子

 今回はこのイベントシリーズにおいて、星野リゾートの各施設の取り組みを経営学的な視点から解説する武蔵野大学の宍戸拓人准教授のインタビューを掲載する。最新の経営学の動向全体に詳しい宍戸准教授の目に、星野リゾートの取り組みはどう映っているだろうか。

日々の業務に教科書のエッセンス

星野リゾートの現場スタッフらとこれまで3回語ってきました。

宍戸准教授(以下宍戸):経営学の教科書は読み解いた上で現場にその理論を意識して導入しようとするのが一般的だ。一方、星野リゾートの場合、既に日々の業務に経営学の教科書のエッセンスが入っている印象を受けた。社員はこれまでに教科書を読んでいる人もそうでない人もいるだろうが、今後読む場合には、これまで自分がやってきたことが実は教科書で書かれていたことであり、そのことの経営学的な意味に後から気づく、という在り方になるのではないか。

武蔵野大学の宍戸拓人准教授は1982年生まれ。一橋大学大学院博士課程修了。2017年から現職。コンフリクト・マネジメントのほか、最新の実践的な経営学の理論に詳しい(写真=栗原克己)

イベントの1回目ではケン・ブランチャード氏らの「1分間顧客サービス」と星のや富士の取り組みをテーマにしました。この本のポイントはどんな点にあるでしょうか。

宍戸:顧客満足度の捉え方だと思う。普通の会社は、顧客満足の基準に対して「下から」ギャップを埋めることでそれを満たそうとする。例えば顧客から「ワインを買ったので、氷を持ってきてほしい」と言われたら、スタッフがどれだけ早く持ってくるかなどがこれに当たる。一方、熱心なファンをつくる会社は、顧客が期待している以上のことをする。あくまで会社としてこうあるべきだという姿からスタートしているのであり、顧客満足の基準を満たすことからスタートするのではない。例えば「以前、氷を頼んだ顧客に対しては、次に泊まるときに頼まれなくても部屋に氷を置いておく」ということを行う。顧客からすれば、たとえ氷が最初から部屋に置いていなくても不満を感じることはないであろう。そして、だからこそやる。いわば「上から」撃墜するわけだ。これこそが「1分間顧客サービス」のエッセンスだ。