[ライブ配信を見る(2月20日午後7時開始予定)]
プロティアンで組織も個人も生産性アップ
田中研之輔・法政大学キャリアデザイン学部教授が登壇
旬の「あの人」と対話ができる。参加者同士でつながれる──。日経ビジネスは、記事やイベント、動画を組み合わせた新しいコンテンツ「Raise LIVE」をお届けします。あなたも、このコミュニティーの一員になりませんか。
木曜日は副編集長の大竹剛が「何が組織を腐らせるのか」と題した連載とイベントを担当します。
■「何が組織を腐らせるのか」トークイベント
2/6 終身雇用は限界? 今何が起きているのか(ライブ映像を再配信中)
2/13 才能を殺す組織、生かす組織
2/20 「プロティアン」で組織も個人も生産性アップ(本日開催、ライブ配信あり)
2/27 イノベーションを生む組織の作り方
前回は、本当に好きな仕事=「What」をどのように見つけたらいいのかについて、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス取締役の島田由香氏と、EYアドバイザリー・アンド・コンサルティングのパートナー、鵜澤慎一郎氏を招いたイベントを振り返りながら考察した。今回も、「キャリア」について、もう少し考えてみたい。

記者は昨年11月、法政大学キャリアデザイン学部教授の田中研之輔教授を招いたRaise LIVE「朝活」を開催した。田中教授には本日夜7時からのイベントにも再び登壇いただき、「プロティアンで組織も個人も生産性アップ」というテーマでワークショップ付きの公開取材を実施する。その準備として、昨年11月の朝活ライブでの取材の内容を振り返っておきたい。ちなみに、「プロティアン」とは、田中教授が提唱する、時代のニーズに合わせた変幻自在のキャリア=「プロティアン・キャリア」のことだ。
まず、田中教授は「終身雇用は限界」というメッセージが経済界から盛んに発信されると同時に、「働かないおじさん」というレッテルがミドル・シニア層に貼られている状況について、「人生100年時代、寿命が延びるなどして社会構造が変わり、働く意義が問われるようになった」と指摘した。これは、今回の連載で繰り返し指摘してきた通りだ。
田中教授は、「これまでの日本は、入社してから約40年、家を買い、家族を養うために、ずっと同じ組織の中で働き続けることを美学と思わせるような社会だった。しかし、それは“神話”のように信じ込まされていただけで、最近はむしろ『きついよね』と思われるようになってきた」と言う。
2月13日、サッポロホールディングスが子会社サッポロビールで勤続10年以上で満45歳以上の社員を対象に早期退職優遇制度を実施すると発表した。昨年からこうした45歳以上や50歳以上の社員を対象に早期退職制度の実施を発表する大企業が相次いでいる。
こうしたニュースが報道されるたび不安を感じる50代、40代のビジネスパーソンは少なくないだろう。田中教授は、「50代のビジネスパーソンが不安を募らせるのは、『もう逃げ切れない』と思うからだ」と指摘する。政府も70歳までの雇用義務を企業に課そうとしている中で、仮に55歳で役職定年になっても、あと15年も働かなくてはならない。しかし一方で企業は「終身雇用は限界」という姿勢を鮮明にし、早期退職を相次いで実施している。これまで同じ組織の中で働き続けることを美学と思わせるような社会で生きてきたミドル・シニア層が、将来に希望を見いだすことが難しくなっているのは、想像に難くない。
田中教授は、こうしたミドル・シニア層が増えることは、若手にとってもネガティブな影響を及ぼすと危惧する。「50代は本来、30代、40代にとってはメンター的な存在。キャリアのモデルを示さなければならない人たちが、つまらなそうに働いていたり、もっとパフォーマンスを発揮できるはずなのにそうなっていなかったりしたら、『自分たちも、いずれそうなってしまう』という不安感を覚える」(田中教授)。バブル世代とも呼ばれる50代は、年齢構成で見て多くの職場でボリュームゾーンとなっている。この層のモチベーションが低下したら、組織全体の活力を奪ってしまいかねない。