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「嫌い」だけど「得意」な仕事は魔物だ

 では、「夢中になれる何か」をどう見つけたらいいのだろうか。島田氏は、「誰にでも『Lifelong Wish』はある」と話す。これは、人生において何が好きか、どうありたいか、という根本的な望みのことだ。「人生、上がったり下がったり、いろいろあるが、今の自分をつくっているのは幼少期、特にものすごい吸収力がある9歳までの体験や考え。その頃、どんなことを夢見ていたか、誰に憧れていたか、何になりたいと思っていたかを振り返ってほしい。そのときのWishは、潜在的に今も持っているはずだから」(島田氏)

 多くの人は社会人になり、組織の中で「こうしなければいけない」「こうした方が得だ」という考えにとらわれるようになり、Wishを押し殺してしまっているという。それが、先ほど島田氏が指摘した、「遠慮をしすぎ」「表現しない」というミドル・シニア層の問題にもつながってくる。「心の奥底に潜んでいるWishに関わることを毎日の仕事の中に見つけることができれば、その仕事をもっと深めたり、別のことにチャレンジしたりというポジティブな気持ちが湧いてくる」と島田氏は話す。

 鵜澤氏も、「すぐに学べるスキルは、すぐに陳腐化する。環境が変わっても通用する、経験に裏打ちされた普遍的な強みを見つけることが重要だ」と話す。

 「私は、とにかく強みを使いまくることをおすすめする。『強み』とは、ポジティブ心理学では『得意なこと』と『好きなこと』の2つに定義される。これらに加えて、仕事で『やらなくてはいけないこと』という3つ目の円が全て重なったら最高でしょう」と島田氏は言う。その上で、島田氏は次のようなやり方で、自分の強みを棚卸しすることを提案した。

 縦軸に「好き-嫌い」、横軸に「得意-不得意」の4象限を描いて、今自分がやっている仕事の内容を、そこに分類しながら書き入れていく。書く内容は、小さな作業の内容でも、部署などのグループや分野でもいい。人事関連の職種に就いている人を例にすれば、「人事」「採用」「履歴書を見る」といった様々な仕事の内容をとにかく書いていくのだという。

 その結果、「好き」かつ「得意」に記入した内容が多ければ、強みをうまく生かした仕事をしているということで、パフォーマンスも上がっているはずだ。一方、「嫌い」かつ「不得意」に記入した内容が多ければ、「今すぐ、その仕事を変えた方がいい」と忠告する。

 ポイントは、残りの2つだ。1つが、「好き」かつ「不得意」が多い場合はどうするか。島田氏は、「全く問題ない。なぜなら、好きなら不得意でもおのずとやってしまうから」だ。そして、不得意でもやり続けていれば、得意になる可能性があるという。やっかいなのが、「嫌い」かつ「得意」の部分だ。「ここが魔物。嫌いだけど得意だから、一時的にはできてしまうため達成感を得られ、周囲から感謝もされる。だが、嫌いなことをやっているときは、私たちのエネルギーはそがれている。それに気がつかず、人生を終えてはいけない」と警鐘を鳴らす。

 自分自身が何をやりたいか。「What」を見つける方法は1つではないだろう。まずは自らのキャリアを見直すきっかけとして、一度、島田氏が提唱する手法を試してみてはいかがだろうか。