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2020年の年明けに米ラスベガスで開催されたイベント「CES 2020」で、トヨタ自動車の豊田章男社長は、コネクテッドカーなどを使った新たなスマートシティー構想を発表。自動車産業を取り巻く環境変化への対応を急ぐ考えを改めて表明した。その一方で、従来の雇用の在り方のままでは変化へ対応できないとの危機感も強い(写真:AP/アフロ)
2020年の年明けに米ラスベガスで開催されたイベント「CES 2020」で、トヨタ自動車の豊田章男社長は、コネクテッドカーなどを使った新たなスマートシティー構想を発表。自動車産業を取り巻く環境変化への対応を急ぐ考えを改めて表明した。その一方で、従来の雇用の在り方のままでは変化へ対応できないとの危機感も強い(写真:AP/アフロ)

 昨年から、トヨタ自動車の豊田章男社長や経団連の中西宏明会長が、「終身雇用の限界」を訴えている。中西会長は今年の春闘のテーマの1つとして、終身雇用や新卒一括採用など、いわゆる「日本型雇用システム」の見直しを議論すべきだという考えを強調しており、日本の雇用制度・慣行の見直しが経済界全体の関心事として急浮上している。

 実際、多くの企業が従来の雇用モデルの見直しに向けて大きく動き始めている。その最初の動きは昨年10月の特集「トヨタも悩む新50代問題 もうリストラでは解決できない」でもリポートしたが、特集掲載後にLIXILグループや味の素が50歳以上を対象にした早期退職の実施を発表するなど、雇用モデルを見直す動きが次々と顕在化してきた。

 LIXILグループの瀬戸欣哉社長は、「従来の社会システムが新たな時代に対応できなくなったとき、変革には必ず痛みが伴う。日本は、このまま放っておいたら全てが駄目になるという状況。フェアに考えれば、その時点で会社に貢献している人に高い給料を払うということにならざるを得えない」と改革の必要性を訴える

 50代を中心としたシニア層の処遇を見直す動きがある一方で、新卒でも年収1000万円以上という高給を支払ってでも、AI(人工知能)の活用といったデジタル化に対応するための人材を採用しようという動きもある。人手不足に代表される構造的な変化を背景に、新卒一括採用や年功序列の見直しが急ピッチで進む。

 立教大学経営学部の中原淳教授は、「終身雇用をどう見直すのか、賃金をどうするのか、個人はキャリアをどう築くのか。2020年が最大の山場になりそうだ」と話す。オリックスの宮内義彦シニア・チェアマンは現在の状況を、「人事混迷の時代 」と表現する。2020年が、いわゆる「日本型雇用」が大きく見直される転換点となるのは、ほぼ確実だ。

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