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 フィンテックベンチャーであるFinatextホールディングス(東京・千代田)は2020年8月24日、子会社であるスマートプラス少額短期保険を通じ、保険業界へと歩を進めた。

 第1弾の保険は「母子保険はぐ」。産前産後の母親と新生児をカバーする保険だ。妊娠中の入院や手術、出産時のトラブル、産後鬱(うつ)などの精神疾患に加え、産後は子供の病気やけがによる入院や手術、先進医療、賠償責任まで広くカバーする。

 保障内容によって月額保険料950円、2990円、4950円の3種類から選べる分かりやすさに加え、加入から保険金受け取りまでスマホのみで完結する利便性、申し込みから3営業日以内に保障が始まるスピード感はフィンテックベンチャーならでは。だが、特筆すべきは保険商品そのものにある。

 それは、契約期間中に産前と産後で特約が切り替わり、保険の対象となる被保険者も自動的に増える点だ。追加の書類提出や保険料の変更もなく、産後の瞬間から新しい保障内容に切り替わり、新生児も保障の対象に含まれる。「前例がなかったため財務局の審査も手間はかかったが、顧客ニーズから商品を再設計した結果」とFinatextホールディングス代表取締役の林良太氏は語る。

 単なるスマホ対応をもってUX(ユーザーエクスペリエンス)改善と言ってはばからない金融業界の中で、顧客視点で商品設計から見直している点はフィンテックベンチャーらしいアプローチだろう。

 だが、Finatextホールディングスの狙いは自社が保険業界で新たなシェアを獲得することではない。今回のスマートプラス少額短期保険の狙いは保険業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進める上で、モデルケース的な位置づけにすることだ。