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 中小の事業者向けに決済やEC(電子商取引)サイト構築サービスを手がけるヘイ(hey、東京・渋谷)は8月4日、米投資ファンドのベインキャピタルや米金融機関のゴールドマン・サックス、米決済企業大手ペイパルのVC部門であるペイパル・ベンチャーズ、YJキャピタル(東京・千代田)などを引受先とした第三者割当増資を実施したと発表した。

 シリーズEとなる投資ラウンド全体で調達した資金総額は非公開だが、リードインベスターとなるベインが同社に投じる資金は約70億円。ベインの東京オフィスでプリンシパルを務める西直史氏がヘイの取締役に就任する予定だ。ベインが日本の未上場企業に投資するのは初めてという。

 heyは併せて、集客・予約システムを手がけるクービック(東京・品川)の買収も発表した。買収額は非公開。同社は2013年に創業したスタートアップで、フィットネスクラブやヨガスタジオなど8万社以上が利用する予約システムを提供している。

 heyの佐藤裕介社長もクービックの倉岡寛社長もグーグル出身の起業家で、もともと親交がある。「今年に入ってから具体的な協議を始めた」(佐藤社長)としており、新型コロナウイルスの感染拡大で一気に買収の話がまとまったようだ。「今後、早期にheyのサービスへの統合を進めていく」(倉岡社長)という。

左からクービック取締役の佐藤大介氏、ヘイ副社長でコイニー社長の佐俣奈緒子氏、クービック社長の倉岡寛氏、ヘイ社長の佐藤裕介氏、ヘイ取締役でストアーズ・ドット・ジェーピー社長兼CEO(最高経営責任者)の塚原文奈氏、ヘイ取締役CFO(最高財務責任者)の齋藤健太郎氏(撮影:的野 弘路)

 「新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、もう一度リスクを取る覚悟を決めた」。heyの佐藤社長は今回の資金調達についてこう語る。ECサイト構築支援やキャッシュレス決済といった事業を手がけるheyにとって新型コロナの感染拡大は完全な追い風。「需要が一気に伸び、事業計画上の目標を1年以上前倒しで達成した」(佐藤社長)という。

 その一方で、heyの顧客である自営業者や中小企業には逆風が吹き荒れている。heyとしては従来の物販中心のECに加え、遠隔レッスンの予約・決済まで手がけるクービックを統合することで、コロナ禍での業績悪化に直面するスモールビジネスの支援を強化する考えだ。

 heyの競合となるBASEは19年10月に東証マザーズに上場。新型コロナの感染拡大を受けてショップ開設数が伸び、株価が急伸中。時価総額は1400億円超に達している。巨額の資金調達で成長へのアクセルを踏んだheyの猛追が始まる。