「成功確率ゼロ%」で気づいたこと

そもそも「知見」をシェアするサービスを思いついたきっかけは?

端羽氏:私は早くに子どもが生まれたので、ライフスタイルに応じた個人の働き方に非常に興味がありました。個人が稼げるサービスを作りたいと思っていました。

 当時、ようやくUberやAirbnbが日本でも紹介され始めたころで、シェアリングエコノミーは今ほど盛り上がっていませんでした。でも、Uberなどの動きを知って「個人が売り手になれる時代が来た」と思った。そこで、「ああ、私は私自身が稼げるサービスをつくりたかったんだ」と思ったんです。

 そこで、キュレーション型のECサービスができないかと考えました。「熊本出身の私が教えるこの手土産」とか「金融会社歴10年の私が教える電卓」とかいったものが並んでいるようなECサイトです。

 知り合いづてで、ECサービスの立ち上げ経験がある人に相談に行ったんです。そこでボコボコに言われたんですよね。「あなたはECが全く分かっていない」と。私は前職のファンド時代に、ECサービスを担当していた経験があります。反論したのですが、「既存サービスをスケールさせるのと、新規事業を立ち上げるのはまるで違う」と再反論されました。

 「成功確率ゼロ%」とまで言われ、コテンパンにされたのですが、その方の話には経験者だけが知る深いインサイトがあった。純粋に「私はこの1時間にお金を払ってもいいな」と思った。その時に、こういうサービスがあったらいいなと思ったんです。

 調べてみると、米国に似たような調査があった。なぜ日本でははやらないんだろうと思ってさらに調べると、日本には知見の出し手がいないことが分かってきました。でも、日本の労働生産人口が減り、働き方の分野できっと面白い動きが起きてくるだろうと考えていました。知見の出し手であるアドバイザーさえ増えてくれば、必ず成功できると考えました。

起業から数年はご苦労されたと伺っていますが、この数年は業績がかなり右上がり。黒字転換もされました。その時期に何があったのでしょうか?

端羽氏:手応えをつかみ始めたのは2016年ごろ。私たちは15年7月に2度目の資金調達をしたのですが、そのころから働き方改革がいろいろなところでいわれるようになりました。その動きと並行してアドバイザーの登録が急速に増え、マッチングの回数も増えていったんです。

私はビザスクが、日本のビジネスパーソンに「新しい稼ぎ方」を提供していると思っています。端羽さんは、これまでの日本人の「働き方」「稼ぎ方」をどう見ていましたか。

端羽氏:働いて「ありがとう」と言われるのってとても大切なことですよね。求められながら働くことほどうれしいことはありません。その観点で、いつもいつも同じ人たちと働いていると、「ありがとう」って言いにくいし言われにくいですよね。だから、いつも違う人、違う業種の人と働ける世界というのを私はつくっていきたいんです。

 全員がフリーランスになる世界が良いとは思っていません。会社ってみんなが同じ目標に向かってコミットできるすてきな仕組みだと思っているので、それはそれで大切にしたい。でも、フリーランスで自由に色んな人と働く仕組みも大切です。それらを行き来する人がいてもいい。そういう多様性のある世界がいいと思っています。

日本型雇用が崩れつつある中で、ミドルやシニアで不安に思っている方もいらっしゃいます。これからは多様な稼ぎ方が大事になると私は考えています。

端羽氏:私も同感です。例えばシニアの方でも、完全に会社の外に出るという選択肢もあるでしょうし、6割は会社で働いて、4割は外で副業したり、ビザスクのようなサービスで稼いだりするという考え方もある。1つの場所で全てのニーズを満たそうとしないことが重要になるのではないでしょうか。

次ページ 2人のベンチャーキャピタリストとの出会い