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2019年に最も売れた「スキル」って何?

旬の「あの人」と対話ができる。参加者同士でつながれる──。2月、日経ビジネスは記事やイベント、動画を組み合わせた新しいコンテンツ「Raise LIVE」をお届けします。あなたも、このコミュニティの一員になりませんか。月曜日は記者の島津翔が「多様化する稼ぎ方、達人が明かす秘訣」と題した連載とイベントを担当します。

 特定の「スキル」だけでなく、あなたの「経験」そのものを売るサービスも現れ始めています。どんな業界のどんな経験が売れるのか。ランキング形式でお伝えします。

「多様化する稼ぎ方、達人が明かす秘訣」トークイベント

2/3 2019年に最も売れた「スキル」って何?

2/10 SNS時代に副業を成功させる秘訣

2/17 パラレルキャリアの始め方・実践編

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 高久均氏(63歳)のもとに、友人から少し変わった依頼が入ったのは3年前のことだった。「3次元CADの使い方を教えてほしいって依頼があったんだが、自分には分からない。代わりに教えてくれないか」

 聞けば、依頼主はコンサルティング会社だという。「3次元CADが実際にどのように自動車業界で使われているのか教えてほしい」。スポットコンサルティングサービスの「ビザスク」を使っての依頼だった。ビザスクは業界経験が長い「その道のプロ」に短時間のスポットでコンサルティングサービスを依頼できるプラットフォーム。「経験」や「知見」をお金に変えることができるサービスだ。

(写真:アフロ)
(写真:アフロ)

 自分の専門分野だったので、友人からの依頼を引き受けた。報酬は、1時間で4万5000円。「引退していたとしても、自分の『知見』に価値がつくのか。これは面白い」と感じて、そのままビザスクに登録した。

 高久氏が、勤めていた自動車部品大手・ボッシュ日本法人を退職したのはその1年前。「自由気ままな生活をしてみたい」と思い、再雇用を断っていた。スポットコンサルという新しい稼ぎ方に出会い、ばらつきはあるものの、月に複数回の依頼を引き受ける。高久氏のコンサルティングは好評で、リピーターも現れ始めた。徐々に単価が上がり、今では1回10万円を超える依頼もあるという。

 大学で精密機械工学を専攻し、卒業後に自動車機器(現在のボッシュ日本法人)に入社した。若い頃はアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)の開発に携わった。制御プログラムを自ら書き、実際にクルマに載せて実験を繰り返す日々だった。

 転機になったのは、入社して15年ほどたった頃。開発の現場から、それをサポートするIT部門に異動したことだ。オンライン上で設計した3次元CADデータを送受信するシステムの開発を担当した。「開発の現場にとってどんな仕様なら使いやすいかという目線でシステムを開発できるのが自分の強みになった」と当時を語る。

 その経験に価値がついている。

 高久氏のもとに入る依頼は2つに大別できる。1つは「新しいシステムを開発するので、現場がどんな風にCADを使っているか教えてほしい」という自動車関連企業のシステム部門からの依頼。もう1つは「こうしたシステムを導入したのだが、どのようにカスタマイズすれば使いやすくなるのか」という開発現場からの依頼だ。高久氏は現場とIT部門のいずれの経験もあるため、両者の論理やニーズが分かる「稀有(けう)な人材」として人気が集まる。

 後述するように、ビザスクでは自動車関連のスポットコンサルティングのニーズが増している。これは自動運転や電気自動車などの新しいテクノロジーについての依頼が増えているからだ。ただし、高久氏の専門は、自動車・機械業界では20年以上前から採用されている3次元CAD。決して最新の技術ではない。それでも2つの専門性を組み合わせれば、退職後も「経験」や「知見」で稼げることを教えてくれる。

 企業に必要な人材像として、数年前から「H型人材」に注目が集まっている。2つの専門性を持ち、それを「H」の字のように横軸でつなぎ、越境できる人材を指す。不確実性が高まっている現代で、主にこれからキャリアを形成する若手が目指すべき姿として使われるが、高久氏の経験は、シニアでもH型人材の価値が高いことを示している。

 次項からは、ビザスクの協力を得て、2019年にどんな分野の「知見」や「経験」が売れたのかを世代別に初公開する。

次ページ 2019年に売れた世代別の「知見」とは?

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