全5547文字

旬の「あの人」と対話ができる。参加者同士でつながれる──。2月、日経ビジネスは記事やイベント、動画を組み合わせた新しいコンテンツ「Raise LIVE」をお届けします。あなたも、このコミュニティの一員になりませんか。

月曜日は記者の島津翔が「多様化する稼ぎ方、達人が明かす秘訣」と題した連載とイベントを担当します。

CtoC(個人間取引)サービスの登場によって、これまで価値がないと思われていたスキルやモノに値段が付くようになりました。では、今、どんなスキルが売れているのでしょうか。ランキングを初公開。上位には、トレンドを表す「ある共通項」がありました──。

「多様化する稼ぎ方、達人が明かす秘訣」トークイベント

2/3 2019年に最も売れた「スキル」って何?

2/10 SNS時代に副業を成功させる秘訣

2/17 パラレルキャリアの始め方・実践編

[Raise LIVEのトークイベントに申し込む]

前回から読む)

潜入 写真の「撮られ方」講座

 東京・四谷。小さなマンションの一室で、一眼レフカメラのファインダーを覗きながら、フォトグラファーが“モデル”に指示を出す。「あなたの目の前にお客さんがいて、彼女が喜んでいるのを想像してみてくれないかな?」

 それを聞いた被写体が、にっこりと笑う。

 「表情だけじゃなくて、立ち方も含めて感情を表現して」「今度は小さい声で『うれしい』って言ってみて」「あなたは口を閉じる癖があるから、感情を声に出したほうがいい」

 木漏れ日が揺れるカーテンの脇に立った被写体は、その言葉を受け入れるように立ち方や表情が変わっていく──。

 これは、プロのフォトグラファーによる雑誌の撮影会ではない。写真の「撮られ方」を教える講座の一幕だ。「撮り方」ではなく「撮られ方」である。講師は、フォトグラファーの橘田龍馬氏。被写体はモデルではなく、スキル講座の受講生だ。

 結論から先にお伝えしよう。2019年に最も売れた「スキル」は、この「撮られ方」だった(詳細は後述。日経ビジネスの推計で、年間売り上げは2200万円で1位、年間に教えた人数は2410人で2位)。撮られ方講座は毎日のように開かれ、その多くが満席御礼となる。

 記者が取材した日は5人の女性が受講していた。ある女性は経営者で、自社のウェブサイトなどに顔写真を掲出したいが、どんな写真だと集客できるのか分からずに受講していた。ある女性は撮られることが苦手で、それを克服するために講座を受けた。

 ランキング上位と聞いて、記者は文字通り「スキル」を学ぶ講座だと想像した。つまり、顔のタイプによって、どの角度からどのような表情で撮られるのが最も美しいかをといったテクニックを教えるものだ。

 その予想はすぐに裏切られた。

 講座の開始は午前10時。まずは1時間のワークショップから始まる。まず「なぜ今日来たのか」「何を改善したいのか」をそれぞれ言い合う。その過程で、「どんな風に撮られたいか」を自分自身が確認する。「美しく撮られたい」という大まかなものではなく、「顧客に頼られたいので、自分に自信があることを伝えたい」「優しい人と出会いたいから、ふんわりした性格であることを知ってほしい」と言った具合に。

 その後、いわゆる「ハイチーズ」の合図で、橘田氏がさっとプロフィール写真を撮影する。これが「ビフォー」だ。その後、立ち方などの基本のテクニックを教えた後で、冒頭のような個別の撮られ方講座に移行する。

 その段階では、テクニカルな指示は一切ない。